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債務超過の解消方法

貸借対照表(B/S)

Jリーグクラブライセンス制度では、財務基準として「債務超過の禁止」が定められています。
新型コロナウイルス感染症の影響を受け、2020年にクラブライセンス制度の財務基準において特例措置が設けられた結果、一定の条件の下で債務超過が一時的に認められてきました。直近の2024年度決算では、計5クラブJFL所属のYS横浜を含む)が債務超過の状態にありますが、これらのクラブは特例措置の終了に伴い、2025年度決算において必ず債務超過を解消することが求められています

それでは、債務超過に陥ったクラブは、どのような手段によって債務超過を解消することができるのでしょうか。

債務超過

純資産(純資産の部) = 資本金 + 資本剰余金等 + 利益剰余金

年度純資産資本金資本剰余金等利益剰余金
2013-677310-708

純資産額は、資本金・資本剰余金等・利益剰余金の合計で構成されています。
このうち、資本金および資本剰余金等は会計上マイナスの値を取らないため、債務超過とは、利益剰余金が大きくマイナスとなり、その累積赤字が資本金および資本剰余金等の合計を上回っている状態と言い換えることができます。

したがって、債務超過を解消する方法は、

  • 利益剰余金のマイナスを縮小する
  • 資本金および資本剰余金等を増加させる
  • もしくはその両方を組み合わせる

という三つに整理できます。

債務超過解消の手段

1. 純利益による解消(利益剰余金のマイナスを小さくする)

年度純資産資本金資本剰余金等利益剰余金(当期純利益)
2013-318760-9076
2014168760-86047
差分+4700+47

債務超過額を上回る当期純利益を計上することで、債務超過を解消する方法です。
例えば、債務超過額が5,000万円であれば、単年度で5,000万円以上の当期純利益を計上することで、理論上は債務超過を解消することができます。

当期純利益を確保するためには、クラブの収入を増やすか、あるいは支出を抑制する必要があります。
この方法は会計上の正攻法と言えますが、プロサッカークラブの経営には、天候に左右される入場料収入、移籍金収入の有無、チーム人件費(特に勝利給)など、不確実性の高い要素が多く存在します。

そのため、次の決算期までに確実な債務超過解消が求められる状況においては、ややリスクの高い手段であるとも言えるでしょう。

2. 増資による解消(資本金および資本剰余金等を増やす)

年度純資産資本金資本剰余金等利益剰余金(当期純利益)
2013-28126196-350-87
201482176246-3409
差分+110+50+50+10

債務超過額を上回る増資を実施することで、債務超過を解消する方法です。
例えば、債務超過額が5,000万円であれば、年度内に合計5,000万円以上の増資を実施することで、債務超過は解消されます。

増資を行うと発行済株式総数が増加するため、1株当たりの持分比率は希薄化します。
第三者割当増資の引受先が新規株主である場合、既存株主の持株比率が低下することから、増資の実施には既存株主の理解と合意が不可欠です。
もっとも、既存株主自身が第三者割当増資の引受先となるケースもあります。

増資による債務超過解消は、引受先の確保というハードルをクリアできれば、当期純利益による解消に比べて確実性の高い手段であると言えます。
実際に、クラブライセンス制度において「債務超過の禁止」が本格的に適用された初年度である2014年度決算では、増資によって債務超過を解消した事例が数多く見られました

なお、ここでは増資を債務超過解消の手段として説明していますが、増資は本来、資本の強化や資金調達を目的として広く用いられる手法であり、必ずしも債務超過への対処に限ったものではありません。

債務超過の解消方法

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