損益計算書の項目でも述べたとおり、Jリーグのクラブライセンス制度では、原則として債務超過の状態にあるクラブにはライセンスが交付されません。
このため、債務超過の回避はJクラブ経営における最重要事項の一つと位置づけられています。
債務超過を回避するためには、継続的に利益を確保し、利益剰余金を積み上げることで純資産の部を厚くし、財務基盤を安定させることが理想です。
一方で、単年度において過度に利益を積み上げることは、本来であれば競技力強化に充てることができた資金を十分に投下していないとも解釈できます。
そのため、プロスポーツクラブの経営においては、債務超過のリスクを抑制しつつ、競技力への投資とのバランスを取りながら経営を行うという考え方が一般的です。
純資産額が経営規模に対して極めて小さい場合、あるいは純資産がマイナスである場合(債務超過の状態)、資金繰りが不安定となり、運転資金が不足するリスクが高まります。
資金がショートするとは、給与や取引先への支払いが滞る、あるいは遅配・未払いが発生する状態を指し、事業の継続そのものが困難となる状況を意味します。
クラブライセンス審査においても、Jクラブが将来的に資金繰りに窮する可能性が高いと判断された場合、クラブライセンスは交付されません(財務基準 F.06)。
F.06 A 予算および予算実績、財務状況の見通し
- 判定
ライセンス申請者が以下のいずれかの状況である場合は、本基準は満たさないものとする。
④ 審査の結果、ライセンス申請日の属する事業年度または翌事業年度において、資金不足に陥る可能性または経営の継続が困難となる可能性が高いと判断される場合
出典J1・J2クラブライセンス交付規則運用細則 [2025/10/1 改正]新規タブで開きます安定開催融資制度
クラブライセンスの交付を受けたJクラブが、シーズン中に資金不足に陥った場合、最終手段としてJリーグが設ける「リーグ戦安定開催融資制度」を利用することになります。
この制度は、リーグ戦を無事に完遂させることを目的として、1クラブあたり最大3億円を上限に、Jリーグがクラブへ融資を行うものです。
一方で、この制度を利用したクラブには、融資を受けた事実の公表に加え、リーグ戦における勝ち点10の減点という厳しい制裁が科されます。
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