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Jクラブの株主

貸借対照表(B/S)

Jリーグが発行する『クラブ経営ガイド新規タブで開きます』によると、Jクラブの株主構成は、主に以下の3つのパターンに分類されています。

  1. 責任企業型
    国内外で事業展開を行うリーディングカンパニーが親会社となり、経営面・財務面の双方でクラブを中核的に支えるパターン。
  2. オーナー・有力企業型
    地元の有力企業や個人オーナーが中核株主となり、複数の地元企業がこれを支援する形で株主に名を連ねるパターン。
  3. 市民クラブ型
    特定の有力企業やオーナーを持たず、地元企業、個人、自治体などが分散して株主となるパターン。

最新版である2025年度版のクラブ経営ガイドによると、J1・J2・J3の全60クラブの内訳は、責任企業型が38%、オーナー・有力企業型が28%、市民クラブ型が33%とされています。

これをカテゴリ別に見ると、J1では責任企業型が圧倒的多数を占める一方、J2・J3ではオーナー・有力企業型および市民クラブ型の比率が高くなっており、カテゴリ間で明確な傾向の違いが見られます。

カテゴリ責任企業型オーナー・有力企業型市民クラブ
J1 (2025)90%5%5%
J2 (2025)15%35%50%
J3 (2025)10%45%45%

Jクラブの株主構成は、必ずしも詳細まで公表されているわけではありません。そのため、クラブによる公式発表や報道内容は、クラブの経営権や資本関係を読み解くための重要な手掛かりとなります。
なお、登記簿謄本を確認することで株主構成を把握することも可能ですが、実務上はハードルが高いため、一般的な分析手法とは言い難い側面もあります。

クロスオーナーシップの禁止

Jリーグでは、あるクラブの親会社または支配株主が、他のJクラブに対して支配的と評価される株式保有を行うことは認められていません。この規制は、クラブ同士の直接的な関係だけでなく、親会社同士の資本関係にも適用されます。

これは、同一大会に参加するクラブ間での競技の公正性、すなわちインテグリティを確保することを目的としたものです。

具体例として、2016年に横浜F・マリノスの親会社である日産自動車が、浦和レッズの当時の親会社であった三菱自動車の株式を34%保有する筆頭株主となった事例が挙げられます。このケースについてJリーグは、クロスオーナーシップに該当するとの見解を示しました。

これを受けて三菱自動車は、保有していた浦和レッズの全株式(全体の50.6%)を、同じ三菱グループである三菱重工と共同で設立した持株会社に譲渡しました。その結果、日産自動車の間接的な保有比率を20%以下に抑えることで、クロスオーナーシップの問題を回避しています。

マルチクラブオーナーシップ(MCO)

プロスポーツクラブが、他のクラブと資本関係を構築し、グループとして経営する形態は、マルチクラブオーナーシップMulti Club Ownership、MCO)と呼ばれます。

クロスオーナーシップの禁止が、国内リーグ戦やカップ戦における競技の公正性を保全することを目的としているのに対し、マルチクラブオーナーシップは、グループ内のクラブ同士が競合関係にないことを前提としています。このため、MCOは主に国境をまたいだ国際的な取り組みとして発展してきました。

代表的な事例としては、マンチェスター・シティFCを中核とするシティ・フットボール・グループ(CFG)や、レッドブル・グループなどが挙げられます。

Jクラブに関連する事例としては、2014年に横浜F・マリノスがCFGに参画したケース(ただしCFGの持株比率は20%弱)や、2024年にレッドブル・グループ傘下となったRB大宮アルディージャがあります。また、Jクラブの親会社が海外クラブを保有する事例としては、横浜FCの親会社であるONODERA GROUPが、2022年にポルトガルのUDオリヴェイレンセの経営権を取得したケースが挙げられます。

なお、マルチクラブオーナーシップにおいては、国際大会への出場資格との関係で、クロスオーナーシップ規制に抵触する可能性が指摘される場合もあります。

マルチクラブオーナーシップについては既に多くの解説記事が存在するため、ここでは概論の整理に留めます。

外資によるJクラブ保有の解禁

Jリーグでは従来、外資企業または外国籍個人によるクラブ株式の保有自体は認められていたものの、議決権の過半数を取得してクラブを支配することは認められていませんでした。

しかし、2020年のJリーグ規約改正により、Jクラブの資格要件として定められていた「総株主の議決権の過半数を、日本国籍を有する者または内国法人が保有する」という条文が削除されました。これにより、外資企業や外国籍の個人が、Jクラブの親会社またはオーナーとなることが可能となっています。

この規約改正を受け、2024年にはNTT東日本が保有していた大宮アルディージャの全株式を、オーストリアのレッドブル本社が取得しました。これは、外資がJクラブを完全に保有する初めての事例となります。

Jクラブの上場解禁について

Jリーグは2022年、規約を改定し、Jクラブが株式を上場することを制度上可能としました。これにより、Jクラブの株式上場は禁止事項ではなくなり、資本政策上の選択肢の一つとして位置付けられることになりました。

この規約改定の背景には、リーグおよびクラブの中長期的な成長を見据え、資金調達手段の多様化や資本の流動性向上を図る狙いがあります。上場そのものを推奨するものではなく、クラブの経営ステージや戦略に応じて、上場という選択肢を取ることも可能にする、という整理です。

上場解禁に伴い、株式異動に関する規定も見直されました。従来は比較的少額の株式異動であってもリーグへの事前届出が必要でしたが、改定後は議決権の15%未満の株式異動については原則として事前届出が不要となり、株式の流動性が高められています。一方で、15%以上の大口株主が発生する場合には、引き続きリーグによる審査が行われ、競技のインテグリティやクラブ経営の健全性が確保される仕組みは維持されています。

リーグは、上場解禁によって地域密着というJリーグの基本理念が変わるものではないと明示しており、不適切な株主の排除やクロスオーナーシップの制限といった基本的な考え方も継続されています。

なお、2026年1月時点において、実際に上場を果たしたJクラブは存在していません。株式上場には通常、数年単位の準備期間と高度な経営管理体制が求められることから、上場解禁はあくまで将来的な選択肢として位置付けられているのが現状です。

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