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財務基準の特例措置

クラブライセンス関連

このページでは、Jリーグクラブライセンス制度における財務基準の特例措置について整理します。

2020年の新型コロナウイルス感染拡大以降、財務基準には複数回にわたり特例措置および猶予期間が設けられてきました。

本記事では、まず現行の特例措置の取扱いを確認した上で、その背景となった制度改定の経緯を時系列で整理します。

現行の財務基準の特例措置

シーズン移行に伴う特例措置
25シーズン26特別シーズン26/27シーズン27/28シーズン28/29シーズン
特例措置なし特例措置猶予期間特例措置なし
  • 債務超過が解消されていなければならない
  • 赤字が継続しているクラブは、3期連続赤字に抵触する可能性がある
  • 債務超過、3期連続赤字をライセンス交付の判定対象としない
  • 対象年度に新たに債務超過に陥っても判定対象としない
  • 債務超過が解消されていなくてもよいが、前年度より債務超過額が増加してはいけない
  • 新たに債務超過に陥ってはいけない
  • 3期連続赤字のカウントをスタートする
  • 債務超過が解消されていなければならない
  • 赤字が継続しているクラブは、3期連続赤字に抵触する可能性がある

ここでは、2026年のシーズン移行を踏まえた現行の財務基準の特例措置について整理します。

現行制度では、「特例措置」と「猶予期間」が区別されており、それぞれの運用は以下の通りです。

  • 特例措置
    • 債務超過および3期連続赤字を、ライセンス交付の判定対象としない
    • 対象年度に新たに債務超過に陥った場合でも、判定対象としない
  • 猶予期間
    • 債務超過が解消されていなくてもよいが、前年度より債務超過額が増加してはならない
    • 新たに債務超過に陥ってはならない
    • 3期連続赤字のカウントを開始する

現行の特例措置においては、26特別シーズンに該当する年度および26/27シーズンに該当する年度が特例措置の対象、27/28シーズンに該当する年度が猶予期間の対象とされています。
これを経て、28/29シーズンに該当する年度から通常運用に戻るスケジュールとなっています。

2020年度に設けられた特例措置および猶予期間は、結果として27年度(2027/28シーズンに該当する年度)まで継続することになりますが、25年度に一度通常運用へ戻っている点には留意が必要です。

これまでの特例措置

ここでは、新型コロナウイルス感染拡大を契機とした特例措置の導入と、それ以降のスケジュールの変遷を確認します。

コロナ禍による特例措置(2020年〜)

2020年当初の特例措置
2020年度2021年度2022年度2023年度2024年度
特例措置猶予期間特例措置なし
  • 債務超過、3期連続赤字をライセンス交付の判定対象としない
  • 対象年度に新たに債務超過に陥っても判定対象としない
  • 債務超過が解消されていなくてもよいが、前年度より債務超過額が増加してはいけない
  • 新たに債務超過に陥ってはいけない
  • 3期連続赤字のカウントをスタートする
  • 債務超過が解消されていなければならない
  • 赤字が継続しているクラブは、3期連続赤字に抵触する可能性がある

2020年の新型コロナウイルス感染拡大は、Jクラブの経営に深刻な影響を及ぼしました。

リーグ戦中断期間中の2020年4月、2020年度決算について「3期連続赤字の禁止」および「債務超過の禁止」を判定対象としないことが決定新規タブで開きますされました。

さらに2020年10月には、2021年度決算も同様に判定対象としない特例措置とし、2022年度決算および2023年度決算を猶予期間とするスケジュールが発表新規タブで開きますされました。
この時点で、初めて「特例措置」と「猶予期間」を区別する考え方が制度上明確に示されました。

その後、2022年6月には「特例措置を延長する必要はない」とする方針新規タブで開きますが示され、2年間の猶予期間を経た2024年度から通常運用へ戻ることが既定路線とされていました。

配分金改革に伴う特例措置(2023年〜)

2023年改定後の特例措置
2020年度2021年度2022年度2023年度2024年度2025年度
改定前特例措置猶予期間特例措置なし
改定後特例措置猶予期間特例措置猶予期間特例措置なし
  • 債務超過、3期連続赤字をライセンス交付の判定対象としない
  • 対象年度に新たに債務超過に陥っても判定対象としない
  • 債務超過が解消されていなくてもよいが、前年度より債務超過額が増加してはいけない
  • 新たに債務超過に陥ってはいけない
  • 3期連続赤字のカウントをスタートする
  • 債務超過、3期連続赤字をライセンス交付の判定対象としない
  • 対象年度に新たに債務超過に陥っても判定対象としない
  • 債務超過が解消されていなくてもよいが、前年度より債務超過額が増加してはいけない
  • 新たに債務超過に陥ってはいけない
  • 3期連続赤字のカウントをスタートする
  • 債務超過が解消されていなければならない
  • 赤字が継続しているクラブは、3期連続赤字に抵触する可能性がある

しかし2023年、均等配分金の減額などを含む配分金改革を理由として、2023年度決算が新たに特例措置の対象とされました。

これに伴い、特例措置および猶予期間のスケジュールも改定され、2024年度が新たに猶予期間に設定されました。その結果、当初の想定より1年延長され、2025年度から通常運用に戻ることが決定されました。

原文

ここまで整理してきた特例措置および猶予期間の内容を、2026年版のJ1・J2クラブライセンス交付規則の原文で確認します。

引用始まり
F.01 年次財務諸表(監査済み)A等級
3.判定

(2) 提出された財務諸表に基づいて審査を行い、以下のいずれかに該当する場合は基準F.01を満たさないものとする。なお、決算期変更などにより、事業年度が1年未満または1年を超える場合には、判定方法はFIBが決定するものとする。

① 3期以上連続で当期純損失を計上した場合(ただし、ライセンスを申請した日の属する事業年度の前年度末日現在の純資産残高が、ライセンスを申請した日の属する事業年度の前年度の当期純損失の額の絶対値を上回っている場合は、本項目に該当しないものとみなす)。なお、本項目は、2030年のライセンス申請において2027年度決算を1期目として適用を開始するものとする。

② ライセンスを申請した日の属する事業年度の前年度末日現在、純資産の金額がマイナスである(債務超過である)場合。なお、本項目は、2025年のライセンス申請において2024年度決算には適用しない。また、2029年のライセンス申請から適用するものとし、2026年から2028年のライセンス申請においては適用しない。さらに、2029年のライセンス申請においては、ライセンスを申請した日の属する事業年度の前年度末日において債務超過であったとしても、さらにその前年度末日において既に債務超過であって、ライセンスを申請した日の属する事業年度の前年度末日において債務超過額がその前年度の債務超過額と同額か、または当該債務超過額より減少しているときは、本項目に該当しないものとみなす。

引用終わり出典J1・J2クラブライセンス交付規則・運用細則 2026年版
  • 「2030年のライセンス申請」とは、2030年3月に判定結果が公表される2030/31シーズンのクラブライセンス申請を指します。
  • 「2027年度決算」とは、2027/28シーズンに該当する年度の決算を指します。

このように、原文は極めて冗長であり、条文のみから特例措置および猶予期間のスケジュールを正確に把握することは容易ではありません。
実務上は、Jリーグがプレスリリース等で公表するスケジュール図を併用して理解することが最も確実と言えるでしょう。

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最終更新日:
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