3期連続赤字の禁止

3期連続赤字の禁止

クラブライセンス交付規則の財務基準F.01で規定されている「3期連続赤字の禁止」の内容を要約すると以下の通りです。

  • 前期の決算で3期連続赤字になった場合、次シーズンのJ2クラブライセンス、J3クラブライセンスは交付されない (財務基準F.01)
  • 前期の決算で3期以上連続で赤字が続き、その最終年度の純損失額が純資産額を上回っている場合、次シーズンのJ1クラブライセンスは交付されない (財務基準F.01)

1番目は従来の「3期連続赤字の禁止」ルールです。2番目はJ1ライセンスに限り純資産が十分に大きい場合は3期以上連続の赤字を認めるという内容です。2018年の規則改正によって新設されました。

また当該事業年度の決算の見通しを審査対象とする財務基準F.06の内容を反映すると、以下のことも言えるでしょう。

  • 今期の決算で3期連続赤字になる見通しが極めて高い場合、次シーズンのJ2クラブライセンス、J3クラブライセンスは交付されない (財務基準F.06)
  • 今期の決算で3期以上連続の赤字となり、今期の純損失額が今期の純資産額を上回る見通しが極めて高い場合、次シーズンのJ1クラブライセンスは交付されない (財務基準F.06)

この内容を改めてクラブライセンス交付規則の原文で確認します。

原文

新型コロナウイルスの影響による財務基準の特例措置が適用される前の2019年度のJリーグクラブライセンス交付規則・運用細則から引用します。

F.01 年次財務諸表(監査済み) A等級
3.判定

(2) 提出された財務諸表に基づいて審査を行い、以下のいずれかに該当する場合は基準F.01を満たさないものとする。

  1. 3期以上連続で当期純損失を計上した場合 (ただし、ライセンスを申請した日の属する事業年度の前年度末日現在の純資産残高がライセンスを申請した日の属する事業年度の前年度の当期純損失の額の絶対値を上回っている場合は本項目に該当しないものとみなす)

Jリーグクラブライセンス交付規則・運用細則 2019

3期以上連続で当期純損失を計上した場合、A等級の基準F.01を満たすことができず、クラブライセンスは交付されません。

括弧書きで「(ただし、ライセンスを申請した日の〜)」と書かれている部分は、J1ライセンスに限り純資産が十分大きい場合は3期以上連続の赤字を認める内容で、詳しくは後述します。

また一つ前のページで確認したように、財務基準F.06によって当該事業年度の決算の見通しもライセンス判定の対象となります。

3期連続赤字の禁止ルールの改正

ただし、ライセンスを申請した日の属する事業年度の前年度末日現在の純資産残高がライセンスを申請した日の属する事業年度の前年度の当期純損失の額の絶対値を上回っている場合は本項目に該当しないものとみなす

括弧書きで書かれているこの文面は2018年の規則改正で付け加えられました。これは純資産額が十分に大きいクラブに対して3期以上の連続赤字を認める内容と言えます。

この内容は2024年現在、J1・J2クラブライセンスの判定にのみ適用されています。J3クラブライセンス交付規則にはこの文面は存在せず、従来通りの3期連続赤字が禁止されています。

2019年に実施するライセンス申請を例に考えます。この状況に括弧書きの文面を当てはめると以下の通りになります。

  1. ライセンスを申請した日の属する事業年度: 2019年度
  2. ライセンスを申請した日の属する事業年度の前年度: 2018年度
  3. ライセンスを申請した日の属する事業年度の前年度末日現在の純資産残高: 2018年度決算の純資産額
  4. ライセンスを申請した日の属する事業年度の前年度の当期純損失の額の絶対値: 2018年度決算の当期純利益(マイナスの値)

3が4を上回っている場合は3期以上連続の赤字でもセーフということなので、2018年度の純資産額と当期純利益を比較することになります。

決算年度201620172018
当期純利益50-100-100
純資産29519595

→ ✅ 3期連続赤字ではない (2020シーズンのJ1クラブライセンスは交付される)

決算年度201620172018
当期純利益-100-100-100
純資産120011001000

→ ✅ 3期連続赤字だが、純資産額が当期純損失の絶対値を上回る (2020シーズンのJ1クラブライセンスは交付される)

決算年度201620172018
当期純利益-100-100-100
純資産29519595

→ ❌ 3期連続赤字で、純資産額が当期純損失の絶対値を下回る (2020年シーズンのJリーグクラブライセンスは交付されない)

コロナ禍と均等配分金減額による特例措置

2020年の新型コロナウイルスの影響を考慮した結果、Jリーグクラブライセンス制度では時限的に「3期連続赤字の禁止」を適用外とする特例措置が取られています。

「3期連続赤字の禁止」は2024年度決算から再びカウントが始まり、2026年に行う2027シーズンのライセンス申請で再度適用されることになります。

コロナ禍及び均等配分金減額による特例措置
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