プロスポーツクラブの経営は、利益の最大化を第一の目的として行われるものではありません。その理由は、プロスポーツクラブが他クラブと競っている対象が「利益」ではないためです。
クラブの収入が増えれば、その分だけトップチームの強化や育成・普及活動に投資したい。より質の高い選手を獲得したい。アカデミーに資金を投じたい。このように、得られた収入を可能な限り競技面に再投資したいと考えるのが、プロスポーツクラブ経営に共通する基本的な発想です。
引用終わり出典ファジアーノ岡山 2013年度 経営状況についてのご報告 (2014/04/24)新規タブで開きます株式会社という名において、一般企業とプロクラブの存在は似ていますが、明確に違う点として、前者は利益を出すことが目的であるのに対し、後者はスポンサー、入場料、募金等で頂戴した運営費を余すことなくチーム強化に使うことが目的の一つだと我々は考えています。
このような性質から、プロスポーツクラブの経営は、単に当期純利益の大小のみで評価できるものではありません。競技成績、育成体制、地域との関係性など、複数の要素を併せて判断する必要があります。
クラブが戦略的に赤字を許容した予算を編成することもありますし、逆に単年で多額の黒字を計上したとしても、トップチームが下位カテゴリに降格してしまうようであれば、その収入を競技力向上に十分に反映できなかったという意味で、経営上の「失敗」と評価される場合もあり得ます。
前項の当期純利益の項目で述べたとおり、債務超過のクラブにはJリーグクラブライセンスは交付されません。そのため、Jクラブにとって最優先事項は、債務超過に陥ることを回避することです。
一方で、クラブが債務超過寸前の状態にないのであれば、特段の目的もなく多額の黒字を積み上げるよりも、収支の均衡を意識しつつ、多少の赤字を許容してでも強化や育成に投資する経営が理想とされることがあります。もちろん単年黒字であること自体は望ましい結果ですが、黒字は善、赤字は悪という単純な二分法でプロスポーツクラブの経営を評価することは適切ではありません。
引用終わり出典2018年度 クラブ経営情報開示(先行発表) メディア説明会 発言録新規タブで開きますQ:決算数値の概要を拝見して、イメージで恐縮ですが、J2・J3は赤の数字がたくさんあり、J1よりも経営していくのが大変というイメージを持っています。それは間違った認識でしょうか?
A:木村専務理事
一般的に誤解されていると思っていますが、サッカーの興行を生業としていますので、経営の安定がいちばん大事です。黒字を何十年も続けて結果的に魅力的ではないチームを作ることにつながってしまう可能性もありますし、また、ギリギリの予算でチャレンジして、最後は雨の日の試合の数や読めない部分などもあって残念ながら最終的な赤字にはなってしまう可能性もあります。つまり、単年度の赤字、黒字だけで経営を判断するのは少々乱暴かなと思っています。
ファン・サポーターは勝ってほしい、魅力的なサッカーをしてほしいと思っていますので、金額の予想を立てて、それにできるだけ近づけた選手強化予算を立て、決算を着地させていくというスタンスの方が良いかなと思います。
少し極端な言い方ですが、黒字を出そうとすれば、選手強化予算を削れば比較的高まりますので、そのあたりが難しいところではあります。どちらかというと収入をしっかり伸ばしていくことが大切です。もちろんJ1に比べてJ2・J3は収入を得にくくなるのが現実ですが、その中でしっかり収入を伸ばしていく努力が必要だと思います。
以上を踏まえると、営業収入の大きさこそが、プロスポーツクラブの地力を示す重要な指標の一つであると言えます。クラブの収入規模が拡大することで、トップチームの強化やアカデミー、育成・普及活動など、競技面への投資の選択肢が広がります。
そのため、どのJクラブも営業収入を拡大し、クラブの規模そのものを大きくすることに注力しています。プロスポーツクラブ経営においては、「利益を出すこと」よりも、「どれだけの収入規模を持ち、それをどのように競技力向上へ結びつけているか」が問われていると言えるでしょう。