Jリーグ配分金とは
Jリーグ配分金とは、Jリーグが毎年、加盟するJクラブに対して支給する資金を指します。
クラブの営業収入を構成する項目の一つであり、特にJ2・J3クラブにとっては、経営の安定性を左右する重要な収入源となっています。
配分金は、チケット収入やスポンサー収入などとは異なり、売上を得るために直接的な費用(売上原価)を要しない収入である点が特徴です。そのため、実質的には受給額の大部分をチーム強化やクラブ運営に充当することが可能です。
なお、大会賞金は配分金には含まれません。
ただし、Jリーグが開示しているクラブ経営情報においては、2010年度以前は大会賞金を含んだ金額が「Jリーグ配分金」として掲載されていた経緯があります。このため、年度をまたいで配分金額を比較する際には注意が必要です。
配分金の原資
Jリーグ配分金の主な原資は、リーグが一括して管理する公衆送信権料収益と、リーグ協賛金(リーグスポンサー)です。
このうち、配分金全体に占める割合が最も大きいのが公衆送信権料収益です。
Jリーグでは、放映権をクラブ単位ではなくリーグとして一元管理し、その収益を各クラブに再配分する仕組みを採用しています。これにより、クラブ間の収益格差を一定程度緩和すると同時に、リーグ全体としての安定的な運営を図っています。
配分金の仕組み
Jリーグ配分金は、大きく次の二つに分類されます。
- 均等配分
所属カテゴリ(J1・J2・J3)に応じて、すべてのクラブに一律で支給される配分金 - 傾斜配分
競技成績や視聴者数、各種指標などに基づき、支給額が変動する配分金
以下では、まず均等配分金について整理し、その後に傾斜配分金の概要を説明します。
均等配分金
2025シーズンにおける均等配分金は、1クラブ当たり以下の金額が設定されています。
- J1:2億5000万円
- J2:1億円
- J3:2000万円
均等配分金は、リーグ全体の安定的な運営を目的として、所属カテゴリごとに定められた金額がすべてのクラブに支給される点に特徴があります。
配分金の金額と放映権料
リーグがクラブに支給する配分金の原資は、協賛金と公衆送信権料収益ですが、その大部分を占めているのが後者です。
Jリーグは2016年7月、Perform Groupが提供するライブストリーミングサービス「DAZN」との間で放映権契約を締結しました。
契約期間は2017シーズンから2026シーズンまでの10年間、総額2100億円という大型契約で、2016シーズンまで年間約50億円規模であった放映権料は、年換算で4倍以上に拡大しました。
放映権料の増額により、均等配分金の水準は引き上げられ、同時に配分金の種類も増加しました。
2018年度以降は、J1リーグ上位クラブなどを対象とした理念強化配分金が新設され、クラブ間の配分金額の差は拡大しています。
関連リンク
ただし、DAZNとの契約によって年間約200億円規模の公衆送信権料収益を得るようになったJリーグであっても、欧州主要リーグとの間には依然として大きな隔たりがあります。
Jリーグが発行する『クラブ経営ガイド新規タブで開きます』によると、年間放映権料はプレミアリーグ(イングランド)が約6500億円、ラ・リーガ(スペイン)が約3200億円、ブンデスリーガ(ドイツ)が約2200億円、セリエA(イタリア)が約1900億円、リーグ・アン(フランス)が約1200億円とされています。
また、欧州主要クラブはUEFAチャンピオンズリーグによる放映権収入も得ており、国内リーグ収入とは別に多額の収益機会を有している点も、Jリーグとの大きな違いと言えます。
配分金の種類
『Jリーグ配分金規程新規タブで開きます』によると、配分金は以下の4種類に分類されています。
- Jクラブ支援費
- 公衆送信権料配分金
- 商品化権料配分金
- 一般交付金(独立行政法人日本スポーツ振興センターからの支援経費。旧toto交付金)
なお、前述の均等配分金は、公衆送信権料配分金を中心に複数の配分金項目を組み合わせて構成されており、「均等配分金」に対応する単一の配分金項目が規程上に存在するわけではありません。
本章の説明では『Jリーグ配分金規程』の2026年改正版新規タブで開きますを用いていますが、2026年1月時点では一部制度運用が不透明な部分も残されています。今後、公式な補足説明等が示され次第、適宜加筆・修正を行う予定です。
1. Jクラブ支援費
Jクラブ支援費は、以下の配分金で構成されています。
- 事業協力配分金
- 理念強化配分金
- ACLサポート配分金
- アカデミー支援配分金
- フェアプレー推進配分金
- キャンプ支援配分金(2026/27シーズン新設、2030/31シーズンまでの期間限定)
なお、2025年度まで存在した「ファン指標配分金」は最新版の『配分金規程』には掲載されておらず、これが一時的な措置なのか、恒久的な制度変更なのかは現時点では明らかになっていません。
理念強化配分金
理念強化配分金は2018年に新設された制度で、前年度のJ1リーグ上位クラブなどを対象に支給される、傾斜配分の中核をなす配分金です。
いわゆる「DAZNマネー」と呼ばれることもありますが、賞金とは異なり、最長2年間にわたって支給される可能性がある点が特徴です。
使途は、以下の目的に限定されています。
- 日本サッカーの水準向上および普及促進
- 若年層からの一貫した選手育成
- フットボール環境整備
- 地域交流・国際交流およびスポーツ文化の振興
理念強化配分金は、新型コロナウイルス感染症の影響により、2020~2022シーズンの順位に基づく支給が停止されました。
その後、2024年度からは「競技順位配分」と「人気順位配分」という新たな方式で再開されています。
キャンプ支援配分金
キャンプ支援配分金は、2026年改正版の『配分金規程』で新たに設けられた配分金です。
引用終わりシーズン移行に伴うJクラブのキャンプ費用増加分の支援を目的とし、協賛金収益を原資として、第5条第1項に基づきJリーグの理事会の決議が得られることを条件に、全てのJクラブに対して支給されるもの
キャンプ支援配分金に関する正式なプレスリリースは、2026年1月時点では未発表です。ただし、夏秋制へのシーズン移行に伴い、「降雪エリア施設整備助成制度新規タブで開きます」と並ぶ形で、降雪地域等のクラブを支援する施策の一つになる可能性があると見られます。
なお、2026/27シーズンから新設される「欧州キャンプ助成金制度新規タブで開きます」は、本配分金とは異なる枠組みの制度と考えられます。
ファン指標配分金(2025年度限りで廃止か)
ファン指標配分金は、DAZN視聴者数などの指標に基づき、総額約13.6億円をJリーグ所属の全クラブに配分する制度です。
理念強化配分金の「人気順位配分」と混同されがちですが、使用される指標や支給対象年度が異なります。
理念強化配分金が当該シーズンの翌年度以降に支給されるのに対し、ファン指標配分金は当該年度が支給対象となります。
2026年改正版の『配分金規程』からは削除されているため、2025年度限りで廃止された可能性があります。
降格救済配分金(2023年度限りで廃止)
降格救済配分金は2018年に新設され、2023年度まで存在した制度で、J1からJ2、またはJ2からJ3へ降格したクラブの経営安定化を目的として支給されていました。
降格クラブには、前年度所属カテゴリの均等配分金の80%が保証される仕組みとなっていましたが、同制度は2023年度をもって廃止されています。
配分金に関する二度の大きな変化
Jリーグ配分金制度には、大きな転換点が二度ありました。
一度目は、2017シーズン以降のDAZNとの放映権契約です。原資の大幅な増加により、均等配分金の増額、降格救済配分金の導入、理念強化配分金の新設などが行われ、成績上位クラブへの傾斜配分が拡大しました。なお、『配分金規程』自体が整備されたのも、2018年の理念強化配分金導入を契機としています。
二度目は、2022年末に野々村芳和チェアマンの下で示された「新たな成長戦略とリーグ組織の構造改革新規タブで開きます」によるものです。均等配分から傾斜配分への比重を高める方針のもと、カテゴリ間の配分比率見直し、均等配分金の減額、降格救済配分金の廃止、DAZN視聴者数を加味した新たな理念強化配分方式の導入などが進められました。