Jリーグ配分金について

Jリーグ配分金について

Jリーグから支給される配分金です。賞金はこの項目に含みません。配分金の原資はリーグが一括で管理する公衆送信権料収益(放映権料)とリーグ協賛金を主な元手として各クラブに配分されます。2023年に配分金規程の改正があり、Jリーグの配分金は以下の4種類に分類されています。

  1. Jクラブ支援費: 以下の6種類で構成
  • 事業協力配分金: Jリーグパートナー企業とのサッカー普及活動を目的として、協賛金収益を原資として全てのJクラブに支給
  • 理念強化配分金: 公衆送信権料収益を原資としてJ1上位クラブ及びび年間ファン指標上位クラブに支給
  • ACLサポート配分金: 公衆送信権料収益を原資としてACL参加クラブに支給
  • ファン指標配分金: スタジアム来場者数の向上を目的とし、公衆送信権料収益を原資として全てのJクラブに支給
  • アカデミー支援配分金: 技術レベルの高いプロサッカー選手の育成を目的とし、協賛金収益を原資として全てのJクラブに支給
  • フェアプレー推進配分金: 公式試合のフェアプレーの推進を目的とし、協賛金収益を原資として全てのJクラブに支給
  • 降格救済配分金: 公衆送信権料収益を原資としてJ1からJ2、J2からJ3に降格したJクラブに支給 2023年度限りで廃止
  1. 公衆送信権料配分金: 公衆送信権料収益を原資として全てのJクラブに支給
  2. 商品化権料配分金: 商品化事業収益を原資として全てのJクラブに支給
  3. 一般交付金: 独立行政法人日本スポーツ振興センターからJリーグに支払われる支援経費を原資として全てのクラブに支給 (旧toto交付金)
Jリーグ配分金規程 (2024年2月1日改正)
aboutj.jleague.jp

Jリーグは、2016年7月にPerform Groupが提供するライブストリーミングサービス「DAZN」との放映権契約を発表しました。契約期間は2017シーズンから2026シーズンまでの10年間で、総額2100億円という大型契約です。2016シーズンまでのJリーグ全体の放映権料は年間約50億円だったので、年換算にするとそれまでの4倍以上の額となります。

放映権料の増額によって均等配分金の額は増え、支給される配分金の種類も増えました。2018年度からはJ1リーグ上位チームに理念強化配分金が支給されるようになり、チーム間の配分金の格差が大きくなりました。

JリーグとDAZNが10年間の放映権契約を締結 (2016年7月20日)
www.jleague.jp
JリーグとDAZNの新たな放映権契約について (2020年8月26日)
www.jleague.jp
JリーグとDAZNの新たな放映権契約について (2023年3月30日)
aboutj.jleague.jp

配分金の種類

1. Jクラブ支援費

2023年度から新設された分類で、理念強化配分金と降格救済配分金を含みます。均等配分金に相当すると思われる公衆送信権料配分金が別途存在するため、Jクラブ支援費は各クラブの経営努力に応じて配分される傾斜配分に当たる部分だと考えられます。

理念強化配分金

2018年に新設された、前年度J1リーグ上位チームに支給される配分金、所謂「DAZNマネー」です。賞金との違いは成績の次年度以降最長3年間に渡って支給されることです。使い途は以下の通りに決まっています。

  1. 日本サッカーの水準向上およびサッカーの普及促進
    選手獲得充当
  2. 若年層からの一貫した選手育成
    アカデミーコーチ強化、海外遠征費、練習環境整備など
  3. フットボール環境整備
    クラブハウス食堂、選手バス、データ分析、育成施設改装、芝生張替工事、練習場散水設備、芝生管理設備など
  4. 選手や指導者の地域交流および国際交流の推進ならびにスポーツ文化の振興
    海外展開、地域交流、集客イベントなど

各項目の詳細は以下の記事に掲載されている「2018年理念強化配分金活用実績」(Jリーグ報道資料)を基にしています。

「(理念強化配分金は)毎年どういった目的で使うのか審査していきますし、支払いが3年間保証されているわけではありません。この審査の考え方のベースは今のところを踏襲していくというのが、現時点での判断です(村井チェアマン)」~2019年第5回のJリーグの理事会より(2)~
www.targma.jp

理念強化配分金は新型コロナウイルスの流行に伴い、2020年シーズンから2022年シーズンまでの3シーズンの順位に基づく支給は停止されています。2024年度からはJ1順位を基にした「競技順位」配分と「人気順位」配分という新たな方式で再開することが決定しています。

ファン指標配分金

ファン指標配分金は全クラブに対してDAZN視聴者数やDAZNシーズンパス販売実績等のファン指標に基づいて配分するものです。

理念強化配分金の「人気順位」による配分と似ている内容ですが、配分の基となるファン指標順位は理念強化配分金の「人気順位」とは別のデータが用いられており、また以下の二点が異なります。一点目はJリーグ所属の全クラブに配分されること、二点目は支給の対象となる年度です。2023シーズンの「人気順位」に基づく理念強化配分金は2024年度に支給されるのに対して、2023シーズンのファン指標順位に基づくファン指標配分金は2023年度に支給されます。

2023年度のファン指標配分金は総額約13.4億円であり、以下のプレスリリースにファン指標順位と配分金額が掲載されています。

2024年度理念強化配分金の支給対象候補クラブおよび2023年度ファン指標配分金支給対象クラブ決定 (2024年2月20日)
aboutj.jleague.jp

降格救済配分金 (2023年度限りで廃止)

2018年に新設された、J1からJ2または、J2からJ3へ降格したクラブの経営安定化のために支給される配分金です。前年度所属カテゴリの均等配分金の80%が保障されます。例えば、J1からJ2に降格した場合、J1の均等配分金3.5億円の80%である2.8億円が保障されるため、J2の均等配分金1.5億円に加えて、1.3億円が降格救済金として支給されます。

降格救済配分金は2023年度の支給を最後に廃止されています。

2021年度配分金について (2020年10月13日)
aboutj.jleague.jp

2. 公衆送信権料配分金

配分金の大部分は公衆送信権料(放映権料)が原資であるため、均等配分金はこの分類に含まれると考えられます。均等配分金はクラブの所属カテゴリによって異なります。2021年度の均等配分金はJ1クラブが約3.5億円、J2クラブが約1.5億円、J3クラブが約3000万円でしたが、配分金構造の見直しに伴い、2023年度からJ1クラブが約2.5億円、J2クラブが約1.0億円、J3クラブが約2000万円となりました。

参考

[J公式] Jリーグ配分金規程 (2023年1月1日改正)
[J公式] Jリーグ配分金規程 (2022)
[ゲキサカ] Jリーグ、理念強化配分金の制度を変更! “翌年10億”廃止で“安定支給”へ (2019/9/24): 理念強化配分金の変更
[浦和] 経営情報: 営業収入の内訳についての説明
[札幌] 決算情報: 内訳を詳細に記述した有価証券報告書を掲載
[J公式] JリーグとDAZNの新たな放映権契約について (2020年8月26日)
[J公式] JリーグとDAZNの新たな放映権契約について (2023年3月30日)
[J公式] 2021年度配分金について (2020年10月13日)

理念強化配分金の支給額
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  • 営業収入
  • 営業費用
  • 入場者数
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