2022年04月28日
FC琉球が2021年度決算を発表
FC琉球を運営する琉球フットボールクラブ株式会社は2022年4月28日、2021年度の決算を発表しました。
主なトピック
- 過去最高売上も収支のバランスは悪化
- 第三者割当増資の実施による債務超過回避
主な指標
項目 | 数値 | 前年比 |
---|---|---|
営業収入(売上高) | 6.41億円 | 0.81億円 |
経常利益 | ▲1.27億円 | 0.31億円 |
純資産(推定) | 0.95億円 | 0.11億円 |
1. 過去最高売上も収支のバランスは悪化
FC琉球の2021年度決算の営業収入は6.41億円。コロナ禍以前である2019年度の営業収入6.32億円を超えて過去最高の売上高を更新しています。しかしながら経常損失は1.27億円と、前年度よりも大きな赤字を計上しています。
収支悪化の原因としては、収入面ではコロナ禍の平常化を想定して立てた事業収入を達成できなかったこと、費用面ではトップチ ームの好調による勝利給の増加などが挙げられます。
クラブの経営におきましては、無観客試合に伴う入場料・グッズ販売の直接的な減収のみならず、4ヵ月もの間ホームにて無観客が続いた結果、制限緩和後も観客動員が振るわず、スタジアムから皆様の足が遠のき、2020シーズンにも増してコロナの影響を受けたシーズンとなりました。
入場料収入並びに入場者数が大いに売上を左右する物販収入においては、平常復帰時の集中した集客策などが功を奏し前年と比べシーズン合計で1万人多い観客の皆様にスタジアムに足を運んでいただき、収入として前年からは大幅な増加となりましたが、コロナ情勢の平常化を見越していた予算に対しては大幅に下回る結果となりました。
一方、トップチームが勝点を積み上げJ1昇格が具体的視野に入る状況下で夏の補強が急務となった事や、選手スタッフ勝利給の積み上げによる支出増に加え、長引くコロナへの対応にかかる諸々 のコスト(アウェイ先ホテルでの個食対応等)が想定を超えて発生するシーズンとなりました。また、先を見据えた長期的視野に立った施策も並行して行った結果の赤字計上となりました。
2021年シーズンは入場制限の緩和によって、Jリーグ全体では入場者数が回復傾向にありましたが、FC琉球はホームゲーム21試合中5試合が無観客試合となってしまいました。
年 | ホーム試合数 | 無観客試合数 | 年間入場者数 | 平均入場者数 | 有観客試合平均 |
---|---|---|---|---|---|
2020 | 21 | 4 | 23,409 | 1,115 | 1,377 |
2021 | 21 | 5 | 33,981 | 1,618 | 2,124 |
2. 第三者割当増資の実施による債務超過回避
当事業年度におきましては、コロナ禍を乗り越える安定した財務基盤を構築する目的で、115.5百万円の第三者割当増資を実施しました。
今回のプレスリリースでは、2021年度内に1.16億円の第三者割当増資を実施したことを発表しています。増資の引受先は不明。
FC琉球の2020年度決算における純資産額は1.06億円だったので、増資引受額1.16億円、当期純損失1.27億円(経常損失=当期純損失と仮定した場合)から計算すると、2021年度決算における純資産額は約0.95億円と推定できます。クラブライセンス制度における財務基準の特例措置により、2021年 度決算までは新たに債務超過になることが認められていますが、第三者割当増資の実施により債務超過化を回避した形になっています。
2022年度以降は新たに債務超過になることが認められていません。今期も2021年度と同じ水準で経常損失を計上してしまうと決算時には債務超過になってしまうため、収支を改善して債務超過化を回避しなければなりません。
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