大分トリニータが2021年度決算を発表

大分トリニータを運営する株式会社大分フットボールクラブは2022年4月26日、2021年度の決算と年度内に実施した増資の詳細を発表しました。

主な指標

損益計算書 (抜粋)

収支のバランス

新型コロナウイルスの影響により2020年度決算では1.33億円の当期純損失を計上していますが、2021年度決算では当期純損失500万円と均衡した収支を達成しています。

コロナ禍以前の水準との比較

2020年度決算の営業収入は、新型コロナウイルスの影響により入場料収入が大幅に減少し、2019年度から約1億円の減収となりました。

しかし2021年度決算の営業収入は、コロナ禍以前の2019年度決算を上回り、2007年度、2008年度に次ぐクラブ史上3番目に高い売上高を記録しています。スポンサー収入は2020年度から減少したものの2019年度よりも高い水準にあり、入場料収入も回復傾向です。また報道によると、移籍金収入やクラウドファンディング、天皇杯準優勝の賞金(5000万円)も売上高を押し上げる要因となっているようです。

選手の移籍金収入があったことや、運営費や強化費を目的としたクラウドファンディングで約９０００万円集まったことに加え、天皇杯準優勝の賞金もあった。

貸借対照表 純資産の部 (推定)

大分トリニータはかつて11億円を超える深刻な債務超過に悩まされていましたが、Jリーグクラブライセンス制度の財務基準の判定初年度となる2014年度決算に債務超過を解消し、以降は純資産が1億円を超える安定した経営をしています。
2020年度決算では新型コロナウイルス流行に伴う当期純損失によって純資産が1億円を下回りましたが、2021年度決算では増資の実施もあり2億円に近い純資産となっています。

増資の内容

今回のプレスリリースでは、定時株主総会及び取締役会における決議事項として増資の実施（正確には増資後の株式情報）を発表しています。

また、2030年を目途とした経営計画を策定し、その実現と経営の持続性を目的とした増資を行いました。増資へご協力いただいた皆さまには、重ねて感謝申し上げます。

【増資に伴う株式情報】

1. 資本金: 134,267,000円 資本準備金:134,252,000円
2. 増資株数: 3,760株 発行済株式数: 8,920株
3. 株主数: 27株主
4. 主要株主: 九州乳業株式会社　株式会社ティーケーピー　九工建設株式会社　ジェイリース株式会社

さて、プレスリリースによると増資後の資本金は134,267,000円、資本準備金は134,252,000円と公表されています。「資本金等」は資本金、資本剰余金等の合計であるので、単純に加算すれば268,519,000円(2.69億円)になるはずです。しかしながら、2021年度決算における「資本金等」の値は1.90億円と記載されています。数字が合いません。どういうことでしょうか。

増資の考察

2021年度決算の「資本金等」(資本金+資本準備金)の額と、今回のプレスリリースに記載された資本金、資本準備金の合計額が合わない原因を、ここでは異なる時期の増資が複数回実施されたことと推察しています。

つまり、

1. 2021年度(2021年2月1日〜2022年1月31日)に実施した第一次増資
2. 2022年度(2022年2月1日〜2023年1月31日)に実施する第二次増資

の少なくとも2回以上の増資が存在し、2021年度決算に反映されているのは第一次増資、今回公表された資本金、資本剰余金は第二次増資後の数値であり、次の2022年度決算に反映されるという考察です。事実、プレスリリースや報道では具体的な増資の実施時期を知ることができませんでした。

以上、数字を合わせるための推論でした。

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