2022年04月13日
ベガルタ仙台が2021年度決算及び2022年度予算を公開
ベガルタ仙台を運営する株式会社ベガルタ仙台は、公式ホームページ内の経営情報を更新しました。この中で、2021年度決算及び2022年度予算が公開されていま す。
主な指標
項目 | 数値 | 前年比 |
---|---|---|
営業収入 | 21.21億円 | 5.94億円 |
営業費用 | 22.59億円 | 2.34億円 |
営業利益 | ▲1.38億円 | 3.58億円 |
経常利益 | ▲1.31億円 | 3.34億円 |
当期純利益 | ▲1.40億円 | 3.40億円 |
純資産 | ▲2.65億円 | 1.41億円 |
背景
ベガルタ仙台は新型コロナウイルスの影響を大きく受け、2020年度決算において4.8億円の当期純損失を計上しました。これによって純資産が-1.24億円となり、債務超過となってしまいました。通常、Jリーグクラブライセンス制度では債務超過が認められていませんが、新型コロナウイルスの流行に伴うクラブライセンス判定における財務基準の特例措置によって、2020年度決算、2021年度決算においては新たに債務超過になることが認められています。
債務超過になってしまったクラブは、2024年度決算までに債務超過を解消しなければなりません。また、2022年度決算、2023年度決算は猶予期間として、債務超過であることは認められていますが 、債務超過額の増加は許されません。
2021年度決算には特例措置が適用されるので、債務超過が増加しても財務基準には抵触しません。
損益計算書 (抜粋)
(単位: 百万円) | 営業収入 | 営業費用 | 営業利益 | 経常利益 | 当期純利益 |
---|---|---|---|---|---|
2019決算 | 2711 | 2956 | -245 | -238 | -428 |
2020決算 | 1997 | 2493 | -465 | -481 | -480 |
2021決算 | 2121 | 2259 | -131 | -136 | -140 |
前年比 | 124 | 234 | 334 | 345 | 340 |
収支のバランス
2020年度は新型 コロナウイルスの影響により入場料収入が落ち込み、収支のバランスを大きく崩しました。2021年度決算では、営業収入の回復と営業費用の削減によって、収支のバランスは改善しつつあります。
コロナ禍以前の水準との比較
2021年度の営業収入をコロナ禍以前の2019年度と比べると、全体で約6億円ほどの開きがあります。内訳を見ると、入場料収入は回復傾向にあるものの依然3.5億円ほどの差があります。また、グッズ収入は2020年度決算から1.5億円ほど減少し、2019年度と比べると2億円近い差が生じています。一方でスポンサー収入は2019年度に近い水準まで回復しています。
貸借対照表 純資産の部
(単位: 百万円) | 純資産 | 資本金 | 資本剰余金等 | 利益剰余金 | (当期純利益) |
---|---|---|---|---|---|
2019決算 | 356 | 630 | 177 | -451 | -428 |
2020決算 | -124 | 630 | 177 | -931 | -480 |
2021決算 | -264 | 630 | 177 | -1071 | -140 |
前年比 | 140 | 0 | 0 | 140 | 340 |
1.4億円の当期純損失によって純資産は-2.64億円となりました。債務超過額が増加していますが、2021年度決算までは債務超過額の増加が認められているため、2023年シーズンのJリーグクラブライセンス判定における財務基準には抵触しません。
2022年度予算概況
前提
2020年から続く新型コロナウイルスの流行に伴い、Jリーグクラブライセンス判定における財務基準には特例措置が設けられています。その内容を簡潔に記すと、2020年度、2021年度決算では特例措置として新たに債務超過になることが認められます。2022年度、2023年度決算では猶予期間として債務超過の状態は認められるものの、新たに債務超過になること、また債務超過額が増加することは禁止です。2024年度決算以降は、従来通り債務超過が認められません。
ベガルタ仙台は2021年度決算で債務超過であったため、2022年度の予算編成において以下のような制約が課されます。
- 債務超過額が増加してはいけない(=増資をしないのであれば、必ず黒字でなければならない)
- 2022年度、2023年度、2024年度の3年間で合計2.65億以上の債務超過を解消しなければならない
2022年度決算で債務超過額が増加してしまうと、2024年シーズンは2023年シーズンの成績に関わらず、直下のカテゴリへと降格と なります。2023年シーズンの所属カテゴリがJ3であれば、降格はありませんが2024年シーズンは勝点-10からの開幕となります。
■基準未充足となった場合の取扱い
上記の財務基準未充足となった場合には、J1・J2クラブは次シーズン下位リーグ所属、J3クラブは次シーズン勝点10点減とする。
損益計算書 (抜粋)
(単位: 百万円) | 営業収入 | 営業費用 | 営業利益 | 経常利益 | 当期純利益 |
---|---|---|---|---|---|
2020決算 | 1997 | 2493 | -465 | -481 | -480 |
2021決算 | 2121 | 2259 | -131 | -136 | -140 |
2022予算 | 2489 | 2434 | 59 | 59 | 51 |
前年比 | 368 | 175 | 190 | 195 | 191 |
ベガルタ仙台が公開している2022年度予算では、J2に降格したものの、前年比3.68億円以上の売上増となる営業収入24.89億円と発表されています。特筆すべきは、5億円強のスポンサー収入の増加を見込んでいることです。2022年度は約5000万円の当期純利益を予定しているようです。
J2に降格した今季、Jリーグの配分金の減少やコロナ禍の影響で入場料収入が伸び悩むなか、アイリスオーヤマと木下グループによる2大スポンサーの大口協賛を中心に、スポンサー収入が5億3600万円増加予定。22年度は単年度で黒字になる見通しとなっている。
債務超過解消の見込み
前述の通り、ベガルタ仙台は2022年度、2023年度、2024年度の3年間で2.65億円の債務超過を解消しなければいけません。複数の報道によると、2022年度内の増資によって年度内の債務超過解消を達成する方針のようです。2022年度決算において予算通りの5100万円の黒字を達成すると仮定すると、年度内の債務超過解消には2.14億円以上の増資が必要となります。
21年度決算時点での純資産を含めた債務超過は2億6400万円。ベガルタ仙台の佐々木知広社長は、本年度中に増資を行い債務超過を解消する方針を改めて示し、「(増資計画を)山に例えると8、9合目まできているという感じがする。最後の詰めをやっていきたい」と強調した。
リンク
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