2023年04月26日
大分トリニータが2022年度決算を発表
大分トリニータを運営する株式会社大分フットボールクラブは2023年4月26日、2022年度決算を発表しました。
主な指標
項目 | 数値 | 前年比 |
---|---|---|
営業収入 | 18.27億円 | 2.69億円 |
営業費用 | 20.14億円 | 0.91億円 |
営業利益 | ▲1.87億円 | 1.78億円 |
経常利益 | ▲1.85億円 | 1.80億円 |
当期純利益 | ▲1.86億円 | 1.81億円 |
純資産 | 0.88億円 | 1.08億円 |
大分トリニータの2022年度の営業収入は18.27億円。J2降格の影響により前年比2.69億円減となりました。しかしながら過去のJ2在籍時の営業収入を大幅に上回る水準にあります。
減収の内訳はスポンサー収入が0.84億円減、入場料収入が0.35億円減、その他の収入(クラブ分類)が1.50億円減と発表されています。その他の収 入の減収のうち約半分は、降格に伴うJリーグ配分金の減少分だと考えられます。2022年度はJ2降格1年目であったことから、降格救済配分金の支給によりJ1所属時の均等配分金3.5億円の80%である2.8億円が保障されています。なおJ2降格2年目となる2023年度の降格救済配分金は、Jリーグ全体の均等配分金額の減少によって当初の予定から減額されています。算定基準は減額後の均等配分金となったため、2023年度は減額後のJ1均等配分金2.5億円の60%である1.5億円が支給されることになります(J2均等配分金1億円+降格救済配分金2年目0.5億円)。
一方で、前期、前々期と2期連続の赤字決算となった財務面では、増資による資金調達を行い、「1年でのJ1復帰」を念頭にチームへの積極的な投資を実施しました。昨年に続きチケット収入、スポンサー収入は、新型コロナウイルス感染症による売上減少の影響を大きく受ける形となり、クラウドファンディングなども実施し多くのご支援をいただきましたが、結果として売上高1,827百万円と前事業年度比べ268百万円(12.8%減)となり、当期純損失は186百万円とこちらも前事業年度に比べ180百万円の減益となりました。
新型コロナウイルスの影響でチケットやスポンサーからの収入が減少し、前期に比べて、売上高は2億6900万円減(12・8%減)の18億2700万円となった。内訳は、広告料収入が8400万円減の6億7400万円、入場料収入が3500万円減の3億1900万円で、その他はクラウドファンディングやJリーグからの分配金などが、1億5000万円少ない8億3300万円だった。昨シーズンはJ2に降格したため、分配金も減少した。
大分トリニータの2022年度決算の当期純損失は1.86億円。純資産額に対して比較的大きな額ですが、報道によるとこれは想定外の赤字ではなく、予算編成時に戦略的に計画していた赤字のようです。
2022年度決算の純資産額は0.88億円です。当期純損失は1.86億円ですが、年度内に実施した増資によって前年比1.08億円の減少となっています。
増資と戦略的な赤字予算
報道によると大分トリニータは2022年度に一年でのJ1復帰を目指して1.90億円の赤字予算を編成していました。それを可能にしたのは、2021年度内、2022年度内の二度に分けて実施した第三者割当増資です。2022年度の赤字予算の編成と増資は不可分の関係であることが伺えます。
1年でのJ1昇格を目指して、増資で調達した資金をトップチームの人件費につぎ込み、当初から約1億9000万円の赤字となる予算を組んでいたが、昇格はかなわなかった。
二度の増資
昨年4月に発表した2021年度決算の際に、第三者割当増資に伴う株式情報が掲載されていましたが、掲載された増資後の資本金及び資本準備金の額は2021年度決算の値と一致していませんでした。今回の2022年度決算発表により、増資は2021年度内、2022年度内と二度に分けて実施していたことが判明しました。
2021年度内の第一次増資では1.10億円、2022年度内の第二次増資では0.78億円、合計1.88億円の資金を調達しています。
純資産の部の推移 (推定)
(単位: 百万円) | 純資産 | 資本金 | 資本剰余金等 | 利益剰余金 |
---|---|---|---|---|
2020決算 | 93 | 40 | 41 | 12 |
第一次増資 | 202 | 95 | 95 | 12 |
減資 | 202 | 40 | 150 | 12 |
2021決算 | 196 | 40 | 150 | 6 |
第二次増資 | 274 | 79 | 189 | 6 |
2022決算(推定) | 88 | 79 | 189 | -180 |
昇格失敗と代表取締役交代
つまり2022年度は増資した分だけ支出が超過する予算を立てることで(あるいは強化費への投資を念頭に増資を実施して)、一年でのJ1復帰を目論んでいました。しかし大分トリニータの2022年シーズンの最終順位は5位。J1参入プレーオフに進出するも1回戦で熊本に敗れ昇格は叶い ませんでした。
2022年12月には、一年でのJ1復帰が叶わず「早期の投資資金回収は困難」となったことを理由に代表取締役であった榎徹氏が退任しています。一般的にトップチームの成績は代表取締役の領分ではないため進退に影響することは稀ですが、これを「経営責任」と明言していることから増資の実施と赤字予算の編成が不可分の関係であったことが伺えます。
退任の理由ですが、従前から交代時期については検討していました。そういった中で、今期は1.88億円の資金を増資によって集め、それをトップチームに注力して「1年でJ1に復帰する」ことを目標に「覚悟を持って臨む」といってきました。
1年でJ1復帰することが、ファン・サポーターの期待に応えることであり、また、経営計画達成に資することである、資金の回収も可能であると判断したわけですが、残念ながらJ1復帰はならず、早期の投資資金回収は困難となり、その経営責任は受け止めるべきだと考えています。
2022年度の積極財政によって純資産額は増資前とほぼ同じ水準となりました。
2023年度は人件費 の大幅な削減によって、身の丈に合わせた予算編成となっているようです。
2023年シーズン、2年目となる下平体制は、大幅な人件費の削減等により、若手選手が多く在籍するクラブになりましたが、残ってくれたベテラン・中堅選手がチームを引っ張り、若手選手の更なる台頭や育成が上手くいけば昨季以上の結果も目指せるのではないかと考えています。
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