2023年12月08日
いわきFCが株主変更を発表
いわきFCを運営する株式会社いわきスポーツクラブは2023年12月8日、株式会社ドームが保有するいわきスポーツクラブの株式が安田秀一氏に譲渡されることを発表しました。この株式譲渡によって安田秀一氏がいわきFCの新たなオーナーとなります。安田秀一氏はドームの創設者であり前代表取締役CEOを務めていました。
このたび、株式会社いわきスポーツクラブは、株式会社ドームが保有する当社の株式を、株式会社ドーム創業者であり前代表取締役CEOの安田秀一氏へ譲渡することで同社と合意したこと、併せて公益社団法人日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)から本株式譲渡が承認されたことをお知らせいたします。
なお、今回の株式譲渡後も、いわきFCの活動拠点であるいわきFCパークについては株式会社ドームが所有いたします。
これまでの経緯
2015年 ドームの100%子会社として設立
株式会社いわきスポー ツクラブは2015年12月に株式会社ドームの100%子会社として設立されました。この際に2013年に設立された一般社団法人いわきスポーツクラブが運営するいわきFC(福島県リーグ3部所属)の運営権を取得しています。
2022年 伊藤忠商事によるドームの子会社化
2022年4月、株式会社ドームが発行する米アンダーアーマー社の保有分を除く全ての株式を伊藤忠商事株式会社が取得しました。その結果、伊藤忠商事はドーム株式の過半数を保有する親会社となりました。伊藤忠商事による子会社化によりドームの役員体制は変更となり、同社の創設者であり代表取締役CEOを務めていた安田秀一氏は7月に役職を退任しています。
いわきFCの株式を100%保有する ドームが伊藤忠商事の子会社となったため、いわきFCは伊藤忠商事の孫会社となりました。なおいわきFCへの影響について、ドームはこれまで通りの運営を続けることを明言していました。
当社の子会社である株式会社いわきスポーツクラブが運営するサッカーJ3 リーグの 「いわき FC」については、これまで通り運営してまいります。
2023年 ドームから安田秀一氏への株式譲渡
今回の株式譲渡によって親会社であったドームに代わり、新たに安田秀一氏がいわきFCを保有するオーナーとなりました。前述の通り安田秀一氏はドームの創設者であり2022年7月まで代表取締役CEOを務めていました。したがって、今回の株式譲渡でいわきFCが安田氏の元に「戻ってきた」と表現していいでしょう。なお個人がJクラブのオーナーになる例は、岡山(木村正明氏)、岩手(秋田豊氏)などがあります。
一方でいわきFCとドーム並びに伊藤忠商事との資本関係は解消されることになります。いわきFCとドームの資本関係は解消されましたが、2024シーズンから2028シーズンまでの5年間のスポンサー契約が新たに締結されています。
展望
いわきFCの喫緊の課題はスタジアム整備です。
いわきFCは2023シーズンにクラブライセンス制度の施設基準の例外規定2を使ってJ2に昇格しています。例外規定2は、当該ライセンスのスタジアム基準(入場可能数など)を満たしていなくても、昇格5年目までにJリーグ規約第34条で定められた「理想のスタジアム」の整備を約束することで上位ライセンスが取得できるという内容です。昇格時点で具体的な計画は必要ありませんが、昇格3年目のシーズンに行うライセンス申請までに場所・予算・整備内容を備えた具体的な計画をJリーグに提出できなければ、翌シーズンの当該ライセンスは交付されません。
施設基準の例外規定
I.01 公認スタジアム(ホームスタジアム)
(3) 前項に関わらず、「Jリーグスタジアム基準」に明示した項目のみ、以下のとおり例外を設ける。
- ライセンス申請者が、ライセンス申請時に、以下のいずれかに該当するものとして「例外適用申請書」を提出し、施設基準 I.01 の例外適用がJリーグ理事会で承認された場合は、施設基準 I.01 を満たしているものとする
イ. 要件を満たすための工事が着工されており、かつ、当該ライセンス申請時から4年以内に到来する最終のシーズンの開幕前日までに工事完了・供用開始し、工事期間中も試合開催に支障をきたさないと合理的に認められる場合
ロ. Jリーグ規約第 34 条第1項の要件を満たすスタジアムを将来的に整備することをライセンス申請者が文書で約束した場合 - 前号ロの例外に基づきライセンス申請者がJ2に昇格したときは、ライセンス申請者は、当該昇格決定後3年以内に到来する最終のライセンス申請時までに、場所・予算・整備内容を備えた具体的なスタジアム整備計画を提出しなければならない。また、昇格決定後5年以内に到来する最終のライセンス申請時までに工事完了し、供用開始が行われなければならない。ただし、工事完了・供用開始までの期限については、ライセンス申請者が当該期限内に到来する最終のライセンス申請時に前号イに基づく例外申請を行い、これが認められたときは、4年以内に到来する最終のシーズンの開幕の前日まで延長される。なお、想定外の事象 が発生しやむを得ないと認められる場合は理事会にて例外規定の適用の有無を決定する
- 前項の例外規定に基づきライセンス申請者がJ2に昇格したときは、以後のライセンス申請においては、当該例外規定を用いることはできない
Jリーグ規約第34条〔理想のスタジアム〕
- 公式試合で使用するスタジアムは、Jリーグスタジアム基準を充足することに加え、アクセス性に優れ、すべての観客席が屋根で覆われ、複数のビジネスラウンジやスカイボックス、大容量高速通信設備(高密度Wi-Fi等)を備えた、フットボールスタジアムであることが望ましい。
- 前項の「アクセス性に優れる」とは、次の各号のいずれかを充足していることをいう。
- ホームタウンの中心市街地より概ね20分以内で、スタジアムから徒歩圏内にある電車の駅、バス(臨時運行を除く)の停留所または大型駐車場のいずれかに到達可能または近い将来に到達可能となる具体的計画があること
- 交流人口の多い施設(大型商業施設等)に隣接していること
- 前各号のほか、観客の観点からアクセス性に優れていると認められること
いわきFCの場合は、ハワイアンズスタジアムいわき(入場可能数5,048人)がJ2基準の入場可能数10,000人を満たしていません。2025シーズンがJ2昇格3年目となるため、2026シーズンのライセンス申請の締切である2025年6月末までに「理想のスタジアム」の具体的な計画を策定し提出する必要があります。
いわきFCは2023年6月に新スタジアム整備計画の策定に向けて新スタジアム検討委員会「IWAKI GROWING UP PROJECT ~想いを紡ぐ、地域を繋ぐ~」を発足しています。
いわきFCが例外規定2のクリアのためにスタジアムを新設するか、現スタジアムの改修で対処するか、また新設の場合は公設になるか民設で行うか、現時点では明らかではありません。ドーム及び伊藤忠商事との資本関係の解消がスタジアム整備に及ぼす影響は予測できませんが、FC今治のように新たに複数の出資企業を募り新スタジアム建設する、という方式が理屈の上では可能になります。