2024年11月25日
Y.S.C.C.横浜に経営上の是正措置が通達
Jリーグは2024年11月28日、Y.S.C.C.横浜に対して2025シーズンのクラブライセンスについて経営上の是正措置がクラブライセンス交付第一審機関(FIB)から通達されたことを発表し た。
クラブライセンス判定後の経営状況の変化により財務基準に抵触する懸念が生じたことが要因。なおJリーグによる調査およびFIBによる判定会議の結果、2025シーズンのJ2ライセンス保持には問題がないことが確認された。
9月24日(火)にクラブライセンス交付第一審機関(FIB)がY.S.C.C.横浜に交付した2025シーズンJ2クラブライセンスについて、クラブの経営状況の変化により財務基準に抵触する懸念が生じたため、Jリーグによる調査およびFIBによる判定会議を開催しました。その結果、「J2クラブライセンスを保有することに問題はない」との結論になりましたが、経営上の是正措置が通達されましたので、お知らせいたします。
是正措置
是正措置の内容は以下の通り。2025シーズンクラブライセンス判定における是正措置はAC長野パルセイロに次いで2例目。
- 2024年度予算進捗をJリーグに定期的に報告すること
- 2025年度予算の編成方針及び進捗状況をJリーグに説明すること
- 資金繰りの状況をJリーグに定期的に報告すること
- 組織体制の改善策をJリーグに説明すること
1.から3.は長野に対する是正措置と同様の内容。加えてYS横浜には4.「組織体制の改善策」の説明が課される。
交付後の違反事例と審査フロー
クラブライセンス制度ではライセンス交付後の違反事例に対する審査フローが規定されており、今回のYS横浜への措置はこれに基づいている。審査フローは『J1・J2クラブライセンス交付規則・運用細則』内に64ページに掲載されている。
クラブライセンスのルールの中で、 交付後の違反事例についての審査フローを設定しています。交付された後に基準に抵触する懸念が生じたときは、このフローに基づいて対応を行うということをルールとして定めており、今回も財務基準に抵触する可能性がありましたので、ルールに基づき、我々の調査およびFIBの判定会議をスケジュールに沿って行いました。
YS横浜は2023年度決算で8300万円の債務超過であった。コロナ禍における財務基準の特例措置により2024年度決算までは債務超過が認められる。ただし2024年度は債務超過の増加は認められない。
抵触する可能性のあった財務基準について具体的な内容は公表されていないが、前述の基準を踏まえると進行中の年度を対象とする財務基準F.06「予算および予算実績、財務状況の見通し」への抵触、つまり2024年度決算において債務超過額が増加する可能性が生じたことが考えられる。
なお本件に直接関係があるかど うかは分からないが、財務基準F.07「ライセンス交付後の重要な後発事象の通知義務」では、ライセンス交付後に「クラブの事業継続に悪影響を及ぼし得る出来事」が発生した場合、ライセンス交付機関(ライセンサー)に通知する義務をクラブに課している。
財務基準F.07 ライセンス交付後の重要な後発事象の通知義務
(1) ライセンスの交付を受けた後、ライセンス交付の対象となるシーズンにおいて、クラブの事業継続に悪影響を及ぼし得る出来事が発生した場合、発生した日から14日以内に、ライセンシーはライセンサーに対し、その出来事の内容、およびライセンシーの事業に与える 影響を説明した書式を提出しなければならない。
(2) ライセンサーは、前項の書式を、ライセンス交付の対象となるシーズンの翌シーズンにおけるライセンス交付の評価資料に加えることができる。
「クラブの事業継続に悪影響を及ぼし得る出来事」は財務基準F.05「ライセンス交付の決定に先立つ表明書」の運用細則内で規定された「ライセンス申請者の財務状況に(好影響か 悪影響かを問わず)影響を及ぼし得るような経済的重要性のある事象」で以下のように定義されている。
ライセンス申請者の財務状況に影響を及ぼし得るような経済的重要性のある事象
① 好影響を及ぼし得るような事象
イ. 増資等の資本政策により、資本の状況が好転する場合(Jリーグ規約第29条に定める手続が別途必要となる)
ロ. 高額の増収要因の発生
ハ. 高額の費用削減効果が見込める計画の立案や、当該事象の発生
② 悪影響を及ぼし得るような事象
イ. 自然災害および事件、事故により、クラブの所有資産、賃借物件が物理的な被害を受けたとき。ただし、当該被害の状況が甚大で、基準F.05に定める書式の提出期限までに書式を提出することが難しい場合は、LMは提出期限について配慮する
ロ. 契約金額が1,000万円以上のスポンサーまたは売上先が倒産した場合、もしくは売上金の入金期限から3か月を超えても入金がない場合
ハ. 株主構成や取締役の構成に重大な変化が発生する場合
二. 基準F.06(2)で提出した当期の損益見込においては当期純利益を計上する見込であったが、当期純損失を計上することが見込まれる場合
ホ. 基準F.06(2)で提出した当期の損益見込から、当期純利益(損失)が30%以上下ぶれることが見込まれる場合
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