2025年04月28日
FC今治が2024年度決算を発表
FC今治を運営する株式会社今治.夢スポーツは2025年4月28日、2024年度(自2024年2月1日、至2025年1月31日)の決算を公開した。
今回発表されたのは損益計算書。また同時にアシックス里山スタジアムを運営する株式会社今治.夢ビレッジの損益計算書が公開された。
項目 | 数値 | 前年差 |
---|---|---|
売上高 | 13億5273万円 | 6037万円 |
営業利益 | ▲1億9057万円 | 1145万円 |
経常利益 | ▲1億6918万円 | 1132万円 |
当期純利益 | ▲1億7308万円 | 1171万円 |
純資産額(推定) | 13億9700万円 | 1億7300万円 |
当期純利益(2社合算) | ▲5946万円 | 1億7473万円 |
リーグ戦平均入場者数 | 3,786人 | 75人 |
年間総入場者数 | 77,027人 | 6,517人 |
2024年度決算
損益の推移は下記のとおりであります。
純売上高が、パートナー企業数の増加、入場者数の増加などの要因により、昨期対比104.7%と増加したものの、昨年に引き続きアシックス里山スタジアムの利用料及び広告掲出料など100%子会社の株式会社今治.夢ビレッジへの支出やトップチーム人件費の増加のため、販管費及び一般管理費が昨期対比103.2%と増加しました。
結果として、営業損失1億9057万円、経常損失1億6919万円、当期純損失が1億7308万円となり、2期連続の赤字となりました。なお、クラブライセンス交付規則の財務基準F.01で規定されている「3期連続赤字の禁止」に関しては経過措置により今回の赤字で1期目のカウントとなります。
FC今治の2024年度の売上高は13億5273万円。前年差6037万円の増収となり前年度に引き続き過去最高の売上高を更新した。増収を牽引したのは前年差5800万円増となったスポンサー収入。その他部門は微増であった。
当社の収入の柱であるパートナー収入に関しては、今期もパートナー数及びパートナー料共に増加し、昨期の7億4400万円から8億265万円と約5800万円の増収となりました。今治市はもちろん、隣町の西条市、新居浜市の企業様のご支援も増え、さらに都市圏の企業様との様々な協業、海外の企業様とのより深い結びつきも続いております。サッカーに留まらない私たちの挑戦への変わらぬご支援の結果と考えております。
入場料収入に関しては、前出の平均入場者数の増加及びJリーグ杯での満員の達成により昨期の7817万円から8315万円と増収。グッズ等の商品売上高も、昨期の6109万円から6614万円と増収しました。
増収の一方でトップチーム人件費など費用も増加。1億7308万円の純損失を計上している。赤字であるものの積極財政が功を奏し、トップチームはJ3リーグで2位の成績を収め、クラブ初のJ2昇格を成し遂げた。
純資産額は13億9700万円と推定。債務超過の心配はない。ただし資産の部の多くは子会社株式が勘定される固定資産であり、名目の純資産額ほど実質的な資金に余裕があるわけではない、という点は留意が必要となる。
今治.夢ビレッジの決算
アシックス里山スタジアムの管理運営を行う株式会社今治.夢ビレッジ(以下、夢ビレッジ)の決算は今回初めて公開された。夢ビレッジは株式会社今治.夢スポーツ(以下、夢スポーツ)の100%子会社。FC今治のホームゲームを開催する際に夢スポーツが、夢ビレッジに対してスタジアム使用料を支払う。
夢ビレッジの2024年度の売上高は2億2858万円。ネーミングライツの導入などにより前年差約4000万円の増収となった。当期純利益は1億1361万円であり初めて黒字化を 達成した。ただし、営業利益はプラス、経常利益はマイナス、当期純利益はプラスという内容であり、プレスリリースで言及されている企業版・個人版ふるさと納税による収入が特別利益に計上されていることが考えられる。
なお、スタジアム管理運営会社の株式会社今治.夢ビレッジは、前出のスタジアム利用料及び広告掲出料に加え、カフェ「里山サロン」の売上や後述するスタジアム命名権収入もあり、純売上高2億2858万円を計上し、さらに企業版・個人版ふるさと納税の収入も加え、当期純利益は1億1361万円となりました。
よって株式会社今治.夢スポーツ、株式会社今治.夢ビレッジの2社合算では、5946万円の当期純損失となりました。
夢スポーツ、夢ビレッジの2社合算では5946万円の純損失を計上。前年度より収支が改善されており、また当初計画よりも赤字幅が縮小されているという。2社合算の黒字化は引き続き課題となっている。
対処すべき課題
【収支の改善】
2024年度は、今治.夢スポーツ単体で当期純損失が1億7308万円となり、2期連続の赤字となりました。一方で、スタジアムを管理・運営している100%子会社の今治.夢ビレッジは、今治.夢スポーツからの利用料及び広告掲出料収入、前出のスタジアム命名権収入、スイートルームの年間利用収入、里山サロンの売上、そして企業版ふるさと納税の収入が伸び、当期純利益は1億1361円となりました。結果として、株式会社今治.夢スポーツ、株式会社今治.夢ビレッジの2社合算では、5,946万円の当期純損失となりました。今後は2社合算での黒字化を目指すべく、パートナー収入および入場者数増加による入場料収入やグッズ収入の増加に取り組みつつ、引き続き、Jリーグのカテゴリに依存しない、フットボールに留まらない活動による収益体制を整えいくことが必要だと考えています。私たちにしかない資産を有効活用し、収支の改善に取り組んでいきます。【財務管理体制の強化】
上記収支の改善を達成するために必要なのが財務体制の強化です。2024年度に関して、2社合算での赤字とはなりましたが、当初の2024年度予算からは結果として大幅な増益の着地となりました。ただしその着地見込みに関して、高い精度で月次で追跡できる仕組みが整っておらず、結果として着地見込みに応じた期中の上方修正や黒字化に向けての対応策を講じられなかったことは、ひとつの課題として捉えていています。今後は、月次での予算実績管理の更なる改善と、それに伴う着地見込みの精度の向上、スタッフひとりひとりがより数字の意識を高められる情報共有や風土づくりに取り組んでいきます。
アシックス里山スタジアムの拡張について
報道によると、FC今治はアシックス里山スタジアムの増設を2026年8月までに行うことを明らかにした。現行の入場可能数は5,316人。J2昇格後7試合の平均入場者数は4,362人であり、収容率は82%。里山スタジアムは「成長するスタジアム」を掲げており、クラブの成長に応じて段階的に拡張できる設計となっている。
サッカーFC今治の矢野将文(まさふみ)社長は28日の株主総会後の記者会見で、「民設民営」で運営する本拠地・アシックス里山スタジアム(アシさと、愛媛県今治市高橋ふれあいの丘)の観客席を2026年シーズン開幕の8月に合わせて増設することを明らかにした。23年1月に完成したスタジアムは5316席。J1規模の1万5000席への増設を視野に入れつつ「まずは身の丈に合わせて」と、段階的に整備する考え。
(中略)
Jリーグは欧州リーグや国際大会の日程に合わせるため、26年の開幕を現行の2月から8月に変える。アシさとの増設工事はその移行期に行われることになる。
なおクラブライセンスとの兼ね合いについては不明な点が多い。FC今治は2025シーズンのJ2ライセンス取得に際して施設基準の例外規定2を適用しているが、Jリーグは2024年に『Jリーグスタジアム基準』の入場可能数を改定しており、現行の入場可能数でも通常のJ1・J2ライセンスが認められる可能性はある。このことから旧来のJ1基準15,000人以上という数字に制約されることなく、クラブの商圏人口、資金調達能力や建材費に応じた規模で計画されることが考えられる。
資金調達の手段は建設時と同様、夢スポーツの第三者割当増資(その後夢ビレッジに対して出資)や、企業版ふるさと納税になると推察される。
【スタジアムの拡張】
“成長するスタジアム”と銘打ったアシックス里山スタジアムは、外構部の木々の成長や季節に応じた花々、畑での収穫、そして多様なイベントの実施による人々の賑わいの創出、スタジアムの活用の多様化など、文字通り成長を続けております。ハード面に関しても、2025年2月に大型映像装置が完成し、2025シーズンはご来場いただいた皆様により試合を楽しんでいただける環境へと成長しました。次の段階は増席をしてスタジアムを拡張し、より多くの方々にホーム戦に来場いただく環境を整えることだと考えております。着券率の観点から現状の収容人数では、入場者数を大幅に増やすのは難しいと考えており、現在のJ2カテゴリからJ1カテゴリを目指していく中で、スタジアムの拡張は急務だと捉えており、着手していく予定です。
改定後の入場可能数
J1は15,000人以上、J2は10,000人以上(芝生席は観客席とはみなされない)
椅子席で、J1は10,000席以上、J2は8,000席以上の座席があること(ベンチシートは1席あたりの幅を45cm以上とする)
ただし、Jリーグ規約第34条に定める「理想のスタジアム」の要件を満たし、ホームタウン人口等の状況、観客席の増設可能性(特に敷地条件)、入場料収入確保のための施策等を踏まえて理事会が総合的に判断した場合、5,000人以上(全席個席であること)で基準を満たすものとする。Jリーグ規約第34条〔理想のスタジアム〕
- 公式試合で使用するスタジアムは、Jリーグスタジアム基準を充足することに加え、以下の要件を満たすことが望ましい。
- フットボールスタジアムであること
- アクセス性に優れていること
- すべての観客席が屋根で覆われていること
- 複数のホスピタリティラウンジやホスピタリティボックス、安定した通信環境を備えていること
- 前項の「アクセス性に優れる」とは、次の各号のいずれかを充足していることをいう。
- ホームタウンの中心市街地より概ね20分以内で、スタジアムから徒歩圏内にある電車の駅、バス(臨時運行を除く)の停留所または大型駐車場のいずれかに到達可能または近い将来に到達可能となる具体的計画があること
- 前各号のほか、観客の観点からアクセス性に優れていると認められること
リンク
公式
報道
その他
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