2025年05月28日
Jリーグが2024年度クラブ決算一覧・先行発表版を公表
Jリーグは2025年5月28日、2024年度Jクラブ経営情報開示資料の先行発表版を公開した。先行発表版は3月決算の柏、湘南を除いた58クラブの経営情報。完全版は 例年7月末に公開される。
先行発表に伴い、本サイトの2024年度決算の数値を更新した。
前年度に債務超過であった7クラブの動向
状態 | 数 | クラブ |
---|---|---|
債務超過解消 | 3 | 東京V、横浜FC、鳥栖 |
債務超過額減少 | 4 | 福岡、YS横浜、相模原、鳥取 |
24年度に債務超過であった上記4クラブは、25年度決算における債務超過の解消を合理的に説明できることが2026シーズンのクラブライセンス取得の条件となる。
なお今回の開示には掲載されていないが、2025シーズンにJ3リーグに参入した高知ユナイテッドSCが23年度決算で債務超過であったことが報道などで明らかになっている。
移籍関連費を初開示
今回の発表から移籍補償金等収入と移籍関連費用が新たに開示された。移籍補償金等収入は前年度まで「その他収入」に、移籍関連費用は前年度まで「トップチーム人件費」に含まれていた。
移籍金の会計処理については、移籍金収入は当該選手の所属最終年度に一括で計上、移籍金支出は当該選手の契約年数に応じて分割して計上する。
Jリーグから移籍金についての詳細がでてるので、会計上の処理について記載します。
①移籍金収入は、選手が最後に所属していたシーズンの会計に一括計上する②移籍金支出は、選手の契約年数に応じて減価償却する(費用化)…
— 濵田満🦌奈良クラブ (@hamada_naraclub) May 28, 2025
シーズン移行に伴う決算期の変更
2026年夏のシーズン移行に伴い多くのクラブは決算期を変更するものと考えられる。決算期の変更は各クラブの裁量に委ねられており、Jリーグ側が決算期を指定、指導することはない。
Q:シーズン移行した後の決算期はこのままなのか、シーズン移行に伴い、決算期は変更するのでしょうか。
A:大城クラブ ライセンスマネージャー
クラブとも色々と意見交換をしているところで、リーグとして決算期を指定することは無いのですが、決算期がずれるとそのシーズンに得たスポンサー収入をどう按分するのかなどの状況が生まれてきますので、移行後のシーズンに決算期を合わせるクラブが増えるのではないかと思います。
Q:今後シーズン移行に伴い、ライセンス判定の時期、決算の時期など、どのようにクラブ側に伝えているのか、今後のスケジュールを教えてください。
A:大城マネージャー
シーズン移行に伴う経営上の決算等 の影響については、昨年、経営管理をテーマにした分科会でもクラブの皆様に課題を出していただき、意見交換を行っています。シーズン移行に伴って当然クラブライセンスの判定スケジュールも、新しいシーズンの前に判定を行わなくてはいけません。詳細なスケジュール設定はこれからですが、半年くらいずれるようなイメージを持っていただければと思います。
クラブの決算期をどうするかについては、リーグからモデルケースは示すかもしれませんが、最後はクラブごとの判断になります。リーグから決算月をこの月にしてくださいということは決めませんので、新しいクラブライセンス判定スケジュールに対応したタイミング等をご検討いただくことになると思います。Q:今までの財務基準の判定は、判定する側の基準に沿ったスケジュールで判定していたのか、もしくはクラブの財務スケジュールに沿って判定していたのでしょうか。
A:大城マネージャー
判定については、Jリーグが定めている交付規則の中で定めた提出物があり、クラブごとの決算期に合わせてご提出いただいていました。現状は最終的な審査基準の提出期限は6月末ですが、現状のJクラブは12月決算、1月決算、3月決算の3パターンになっています。3月決算のクラブは、6月末の時点で確定した決算をご提出いただきました。その後の進行期の状況は決算期によって異なりますが、クラブの決算期が異なることで、提出物が大きく異なることは無く、大きな問題はありませんで した。新しいカレンダーになった際は、クラブの決算期も様々になる可能性もありますので、我々も慎重に判断していく必要があると考えています。
既に複数のクラブが決算期変更を表明しているが、その変更方法は一律ではない。決算期の変更は、半期を1期とするか、1年半を1期にするかで以下の3つのパターンに分かれると考えられる。
- 26年上半期の半年間を1期に設定
- 25年上半期の半年間を1期に設定
- 25年と26年上半期の1年半(17ヶ月間)を1期に設定
多くのクラブは1のパターンを採用すると想定されるが、既にファジアーノ岡山が2の方法、北海道コンサドーレ札幌が3の方法による決算期変更を表明している。
シーズン移行に伴う財務基準の特例措置
またシーズン移行に合わせてクラブライセンス制度の財務基準に新たな特例措置が設けられる可能性が報じられていた。
今回の発表に伴うJリーグからの発表や報道はないが、複数のソースを基にすると「債務超過の禁止」は緩和されないものの、「26年6月を期末とする決算については3期連続赤字の対象外」になることが考えられる。
Q: 赤字の責任所在、クラブライセンス維持・黒字化に向けた施策について教えてください。
A: 前経営陣が退任し、ライセンス維持へ向け財務再設計中。2026シーズン前半は特例適用予定。決算期は2025年2月から2026年6月までの17ヶ月に変更予定。
また、来季はシーズン移行初年度となり、秋田を含むJクラブの決算期が変更を予定しています。これに伴い、赤字に関してのカウントも猶予が発生するようです。
— さきがけ BB担当 (@skgk_BBtansub) April 30, 2025
ただ、債務超過となっても不交付となるので、その点は注意が必要です。