2026特別シーズン Jリーグクラブライセンス プレビュー

2025年09月22日

2026特別シーズン Jリーグクラブライセンス プレビュー

2025年9月末、2026特別シーズンに向けたJリーグクラブライセンスの判定結果が発表される。発表を前に、ライセンス制度の昨季からの変更点や審査における注目点を整理する。この記事は概論であり、財務基準や施設基準に特化した記事は別途公開する予定。

昨年からの変更点

2026特別シーズンに限るライセンス審査

Jリーグは2026年夏にシーズン移行を実施する。その準備として、クラブライセンス制度の改定内容が2025年9月18日に発表された。これにより、今回行われる審査は2026特別シーズン限定のライセンス判定であることが確定。翌26/27シーズン分については、26年5月に改めて審査が行われる。

なお、来年上半期に予定される「J1リーグ特別大会(仮称)」および「J2・J3リーグ特別大会(仮称)」に必要となるライセンス区分は現時点で明らかになっていない。前者にはJ1ライセンス、後者にはJ3ライセンス以上が求められると考察する。正式な要件の公表が待たれる。

Jリーグがシーズン移行に伴う財務基準の特例措置を発表 (2025年9月18日)

財務基準の特例措置は一旦廃止

今回の改定により、シーズン移行期における財務基準の特例措置が改めて適用されることが発表された。一方で、新型コロナウイルスの影響を理由に設けられていた特例措置は、2024年度決算をもって終了となる。

そのため、2025年度決算については従来通り「債務超過の禁止」が適用される。ただし「3期連続赤字の禁止」については、猶予期間中である24年度を1期目とみなすため、2期目となる25年度決算は今回の判定対象外となる。

2026年度以降はシーズン移行に伴い、財務基準に関する新たな特例措置が導入される。2026年前半期と2026/27シーズンが特例措置の対象、2027/28シーズンが猶予期間の対象となる。これにより、2020年に始まった財務基準特例の枠組みは2028年まで存続することになった。

例外規定2で具体的なスタジアム計画提出が必要となる初年度

いわきと相模原は、今回のクラブライセンス申請において具体的なスタジアム整備計画を提出する必要がある。

例外規定2は、Jリーグ規約第34条に定める「理想のスタジアム」を将来的に整備することを約束すれば、一部の基準(入場可能数や大型映像装置)を満たさずとも上位ライセンスを取得できる仕組みである。申請時には具体的な計画を必要としないが、昇格と同時に整備期限が進行する。昇格3年目のライセンス申請で「具体的な計画」の提出が義務づけられ、昇格5年目のシーズン終了までに着工すれば、着工を条件とする「例外規定1」へ切り替えることが可能だ。

これまで例外規定2を用いて昇格したのは、相模原(2021)、岩手(2022)、いわき(2023)、今治(2025)の4クラブ。このうち相模原と岩手は既に提出期限を迎えていたが、コロナ禍の影響を考慮して2025年6月まで期限が延長されていた。

ただし、岩手は現在JFL所属でありJ2ライセンスの申請資格を失っているため、具体的な整備計画の提出義務は生じない。今後、例外規定2を使ってJ2ライセンスを得ることもできない。

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2025シーズンのクラブライセンス再確認

ライセンスクラブ
J149札幌・仙台・山形・鹿島・栃木SC・群馬・浦和・大宮・千葉・柏・FC東京・東京V・町田・川崎F・横浜FM・横浜FC・湘南・甲府・松本・新潟・富山・清水・磐田・名古屋・岐阜・京都・G大阪・C大阪・神戸・岡山・広島・山口・讃岐・徳島・愛媛・福岡・北九州・鳥栖・長崎・熊本・大分

(例外規定)岩手・秋田・いわき・水戸・金沢・藤枝・鹿児島・琉球
J211YS横浜・長野・FC大阪・鳥取

(例外規定)八戸・福島・相模原・沼津・奈良・今治・宮崎
J37青森・栃木C・新宿・三重・滋賀・高知・V大分

J2・J3所属の全40クラブが上位ライセンスを取得し、昇格の資格を保持していた。このうち、スタジアム基準の例外規定2を用いてJ1ライセンスを取得したのが8クラブ、J2ライセンスが7クラブである。

クラブライセンス交付第一審機関(FIB)決定による 2025シーズン J1・J2クラブライセンス判定結果について (2024年9月25日)
aboutj.jleague.jp
2025シーズンJ3クラブライセンス判定結果について (J3入会を希望するクラブ) (2024年9月24日)
aboutj.jleague.jp
クラブライセンス判定結果発表および説明会 発言録 (2024年10月2日)
www.jleague.jp

2026特別シーズンのクラブライセンス考察

前シーズンと異なるライセンス交付を、ここでは便宜上「昇級」「降級」と呼ぶ。

ライセンス区分(J1・J2・J3)の差は、主に施設基準I.01「公認スタジアム」とI.04「トレーニング施設」に起因する。一般的にクラブは上位ライセンスを得られるように施設整備を進めるため、昇級は比較的多いが、降級は例外的だ。

上位ライセンスへ昇級が予想されるクラブ

  • 栃木C:J3→J2(例外規定2を適用してJ2ライセンス申請)
  • 今治:J2→J1(例外規定2を適用してJ1ライセンス申請)
  • 高知:J3→J2(トレーニング施設に関する例外規定を適用してJ2ライセンス申請)

2025/09/23訂正 高知ユナイテッドSCはU-18チームを保有しておらず、J2ライセンスで必要となる競技基準S.02「選手の育成体制(アカデミーチーム)」を充足することができない。

下位ライセンスへ降級が予想されるクラブ

  • 岩手:J1→J3(JFL所属のためJ1・J2ライセンス申請資格を喪失)
  • YS横浜:J2→J3(同上)
  • 相模原:J2→J3(スタジアム基準に関する例外規定2が認められない可能性)

岩手とYS横浜はいずれも今季JFLに所属しており、これによりJ1・J2ライセンスの申請資格を失った。特にYS横浜は財務面の懸念も指摘される。

相模原は「具体的なスタジアム整備計画」の提出が審査を通過しない可能性があり、降級のリスクを抱えている。この点については、施設基準に特化した別記事で詳しく取り上げる予定。

リンク

Jリーグがシーズン移行に伴う財務基準の特例措置を発表 (2025年9月18日)
2026特別シーズン Jリーグクラブライセンス プレビュー 施設基準編 (2025年9月25日)
2026特別シーズン Jリーグクラブライセンス プレビュー

日付: 2025年09月22日

最終更新日: 2025年09月25日

クラブ:

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