2025年09月25日
2026特別シーズン Jリーグクラブライセンス プレビュー 施設基準編
2026特別シーズンに向けたクラブライセンス判定に先立ち、施設基準の注目点を整理したプレビュー記事を作成する予定だったが、発表に間に 合わなかった。論点の整理については判定発表後も変わらない内容となっているはずなので、以下に掲載する。
この記事では、2025年9月末に公表予定の「2026特別シーズンに向けたクラブライセンス判定」における施設基準の注目点を整理する。
焦点となるのは新スタジアム整備の進捗だ。対象は「例外規定2の具体的な計画提出」が求められる2クラブ(いわき、相模原)と、「全屋根基準の条件付き免除」を受ける3クラブ(秋田、鹿児島、琉球)の二つに分かれる。いずれも将来的にスタジアム整備を行う点では共通するが、全く別の枠組みであり、混同を避けたい。
例外規定2の「具体的なスタジアム整備計画」が問われるクラブ
まず例外規定2による2クラブ、いわきFCとSC相模原を確認する。このうちSC相模原は条件を満たせず、J2ライセンスを失う可能性が高いと予想される。
追記: SC相模原は条件を満たせなかったものの更に1年の猶予が与えられ、J2ライセンスが交付された。
例外規定2は、Jリーグ規約第34条に定める「理想のスタジアム」を将来的に整備することを約束すれば、一部の基準(入場可能数や大型映像装置)を満たさずとも上位ライセンスを取得できる仕組みである。申請時には具体的な計画を必要としないが、昇格と同時に整備期限が進行する。昇格3年目のライセンス申請で「具体的な計画」の提出が義務づけられ、昇格5年目のシーズン終了までに着工すれば、着工を条件とする「例外規定1」へ切り替えることが可能だ。
この制度はフットボールスタジアム整備を推進する目的で2019年に導入された。これまでに相模原(2021)、岩手(2022)、いわき(2023)、今治(2025)の4クラブが例外規定2を用いて昇格。相模原と岩手は既に期限を迎えていたが、コロナ禍を理由に2025年6月まで期限が延長され ていた。
交付規則運用細則における例外規定2(抜粋)
① ライセンス申請者が、J1・J2ライセンス申請時に、以下のいずれかに該当するものとして「例外適用申請書」を提出し、基準I.01の例外適用が理事会で承認された場合は、基準I.01を満たしているものとする
イ. 要件を満たすための工事が着工されており、かつ、当該ライセンス申請時から4年以内に到来する最終のシーズンの開幕前日までに工事完了・供用開始し、工事期間中も試合開催に支障をきたさないと合理的に認められる場合
ロ. Jリーグ規約第34条第1項の要件を満たすスタジアムを将来的に整備す ることをライセンス申請者が文書で約束した場合
② 前号ロの例外に基づきライセンス申請者がJ1またはJ2に昇格したときは、ライセンス申請者は、当該昇格決定後3年以内に到来する最終のライセンス申請時までに、場所・予算・整備内容を備えた具体的なスタジアム整備計画を提出しなければならず、かつ、当該昇格決定後5年以内に到来する最終のライセンス申請時までに工事完了し、供用開始が行われなければならない。ただし、工事完了・供用開始までの期限については、ライセンス申請者が当該期限内に到来する最終のJ1・J2ライセンス申請時に前号イに基づく例外申請を行い、これが認められたときは、4年以内に到来する最終のシーズンの開幕の前日まで延長される。なお、想定外の事象が発生し、やむを得ないと認められる場合は理事会にて例外規定の適用の有無を決定する
J1・J2クラブライセンス交付規則・運用細則
今年の審査では、いわきと相模原のJ2ライセンスにおいて、この「具体的なスタジアム整備計画」の有無が焦点となる。
行政主導の整備では、基本構想→基本計画→基本設計→実施設計と段階が進む。公設民設を問わず、少なくとも「基本計画」水準の内容が必要になると予想する。
いわきFC
いわきFCは2022シーズンにJ3優勝、2023シーズンにJ2昇格。ホームのハワイアンズスタジアムいわき(収容5,066人、芝生席含む)がJ2基準を満たさないため例外規定2を適用した。今年は昇格後3年目にあたる。
同クラブはJ2昇格後にJ1ライセンスも例外規定2で取得しているが、今回問われるのはJ2昇格 時の適用である。J2ライセンスが失効すれば、J1ライセンスの維持も不可能となる。
2025年3月、いわき市小名浜の県有地を候補地に発表。予算は非公表だが当初から民間資金による整備を前提としている。収容8,000~10,000人規模で、2023年改定のJ1基準を満たす可能性も高い。したがって、例外規定2を充足できる可能性は大きい。