2025年10月29日
モンテディオ山形がSCOグループと関係解消へ
モンテディオ山形を運営する株式会社モンテディオ山形は2025年10月29日、発行済株式総数の15%を保有するSCOグループと関係解消に向けた協議を開始すると発表した。
株式会社モンテディオ山形(代表取締役社長:相田健太郎)は、株式会社SCOグループ(本社:東京都千代田区、代表取締役会長:玉井雄介)と協議のうえ、同社が保有する当社株式の譲渡に向けた協議を進めていくことに合意いたしましたので、お知らせ申し上げます。
株式会社SCOグループ(本社:東京都千代田区、代表取締役会長:玉井雄介)は、このたび、株式会社モンテディオ山形様と、当社が保有するモンテディオ山形様の株式の譲渡に向けた協議を進めていくこととなりましたので、お知らせいたします。
内容
両社の発表によると、「関係解消」とは具体的に以下の3点を指す。うち2と3についてはすでに確定事項とされている。
- SCOグループが保有するクラブ株式の譲渡
- SCOグループ代表・玉井雄介氏の社外取締役辞任
- SCOグループによる新スタジアム支援の解消
モンテディオ山形のリリース
併せて、株式会社SCOグループ代表の玉井雄介氏より当社社外取締役辞任の申し出があり、当社として受理し、昨日開催した取締役会にて報告いたしました。
株式会社モンテディオフットボールパーク(代表取締役社長:相田健太郎)が推進する新スタジアム建設および運営を中心とした事業に関しまして、株式会社モンテディオ山形と株式会社SCOグループの両社で協議を行い、支援解消の合意に至りましたことも併せてご報告申し上げます。
SCOグループのリリース
また、株式会社モンテディオフットボールパーク様が推進する新スタジアム建設および運営を中心とした事業に関しましてもモンテディオ山形様と協議を行い、モンテディオ山形様からの支援解消の申し出を承諾する形で合意となりましたこともご報告いたします。
これに伴い、当社代表は、モンテディオ山形様の社外取締役の職から退くことといたしました。
両社の説明を総合すると、(2)玉井氏の取締役辞任は本人の申し出によるものであり、(3)新スタジアム支援の解消はクラブ側からの申し出によるものである。ただし、これらはいずれも(1)株式譲渡に付随する動きであり、その根本的な理由や経緯は明らかにされていない。
SCOグループは旧社名「スマートチェックアウト」時代の2022年にモンテディオ山形とユニフォームスポンサー契約を締結。2024年にはアビームコンサルティングが保有していた15%の株式を取得し、クラブ経営に参画した。今年4月にはクラブが推進する新スタジアムの建設および運営事業に対し、主体的な事業支援を行うことを表明していた。
一方、モンテディオとSCOが支援して山形市内で14日に開院した予防歯科医院「モンテディオオーラルケアクリニック」は存続させる方向だ。SCOが21年から続けてきたモンテディオのスポンサーを来シーズン以降どうするかも協議中だ。
報道によると、SCOグループが2021年から継続してきたモンテディオ山形とのスポンサー契約については、来シーズン以降の継続可否を含め協議が進められている段階にある。一方、今月14日に両者の支援により山形市内で開院した予防歯科医院 「モンテディオオーラルケアクリニック」については、現時点で存続の方向とされている。
2025/10/31追記 2025年10月30日に「モンテディオオーラルケアクリニック」の運営継続が正式に発表された。株式会社モンテディオ山形は、2025年10月14日(火)に開業いたしました「モンテディオオーラルケアクリニック」につきまして、これまで通り運営を継続していくことをお知らせいたします。
新スタジアム建設への影響は
モンテディオ山形は現在、天童市の山形県総合運動公園特設駐車場内に新スタジアムを建設中である。2024年9月に着工し、2028年夏の竣工を目指している。建設および運営の主体は、クラブが設立した特別目的会社・株式会社モンテディオフットボールパーク(MFP)である。
建設費用の資金調達では、SCOグループの支援が大きな原動力となったことが過去の取材で明らかにされている。一方で、事業主体であるMFPへのSCOグループの資本参加は行われてい ない。
株式会社モンテディオフットボールパークの株主
資金調達、寄付、補助金に関する模索はなかなか方向性が見えなかった。2023年、24年は銀行とやり取りが続いていた。
事態が大きく動いたのが2024年の年の瀬。山形銀行から「3月までにいくらお金を作れるかで、最終的に判断する」という内容の回答があった。「3カ月でお金を作る」ことの難易度は、特に説明も不要だろう。
相田が「すがれる」相手は株主、スポンサーということになる。資金提供に応じたのはクラブにとって3番目(約15%)の株主であるSCOグループ。歯科医院を中心に、医療のデジタル化を促進している企業だ。
SCOグループからの支援が「呼び水」となり、山形銀行から大口の借り入れも決まった。
スタジアム建設に限らず、このようなプロジェクトは「お金がお金を呼ぶ」側面がある。まずクラブが一定規模の集客、売上を実現していることは大切だ。そこに魅力、可能性を感じてまとまった資金を出してくれる人がいれば、金融機関や行政も乗ってくる。天童の新スタジアム構想について言えば「ファーストペンギン」がSCOグループだった。
SCOグループによる新スタジアム支援の具体的な内容は、4月時点のプレスリリースでも明確にはされていなかったが、資金調達に関わる部分を含んでいた可能性が高い。したがって、SCOグループの離脱は今後の資金計画や外部調達の見通しに一定の影響を及ぼす可能性がある。
2025/10/31追記
山形新聞は10月31日、SCOグループとの関係解消に伴い、同グループが新スタジアム建設費として拠出を予定していた約50億円が白紙となったと報じた。この金額は総事業費約158億円の約3分の1に相当し、資金計画の見直しを迫られる可能性があるという。
サッカーJ2・モンテディオ山形を運営する株式会社モンテディオ山形(相田健太郎社長)と、株主でチームスポンサーのSCOグループ(東京、玉井雄介会長)の関係解消に伴い、新スタジアム建設費として同グループによる約50億円の拠出が白紙となったことが30日、複数の関係者への取材で分かった。建設費約158億円の約3分の1に当たり、資金計画の見直しが迫られることとなった。
引用はYahoo!ニュースより
歯科医院向けの決済代行サービスなどを手がける同グループは今年4月、建設と運営を行うパーク社に「主体的事業支援」を行うと発表していた。複数の関係者によると、同グループはこの時点で建設資金として約50億円の拠出を決定していた。今月下旬になって、玉井氏からモンテディオ山形の社外取締役を辞任する申し出があり、28日の取締役会で報告された。
引用はYahoo!ニュースより
なお、先に引用したスポーツナビの記事にある通り、SCOグループによる支援が山形銀行からの大口融資を引き出す契機になった経緯も確認されている。今回の関係解消は、スタジアム事業の資金調達構造やスケジュールに重大な影響を及ぼす可能性があり、クラブによる新たな資金調達方針の提示が注目される。
リンク
公式発表
報道
過去のSCOグループとの関わり
新スタジアム関連
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