高知ユナイテッドSCを運営する株式会社高知ユナイテッドスポーツクラブは2026年3月31日、2025年度決算(自2025年2月1日、至2026年1月31日)を発表した。なお、同クラブが決算のプレスリリースを公開するのは今回が初めてである。
引用終わり出典2025年度決算概要および株主総会決議事項のお知らせ新規タブで開きます当社は、第12回定時株主総会を2026年3月31日に開催し、2025年度事業報告、決算ならびに決議事項についてご承認いただきましたので、ご報告致します。
決算概要
| 項目 | 数値 | 前年差 |
|---|---|---|
| 売上高 | 4億0037万円 | +2億0018万円 |
| 営業利益 | マイナス▲4736万円 | -1636万円 |
| 経常利益 | マイナス▲4110万円 | -510万円 |
| 当期純利益 | マイナス▲4142万円 | -7956万円 |
| 純資産額 | マイナス▲5160万円 | +3057万円 |
| リーグ戦平均入場者数 | 2,406人 | +613人 |
| 年間総入場者数 | 52,651人 | +15,519人 |
売上高は4億0037万円で、前年度比2億0018万円増と大幅な増収となった。J3参入の効果により、スポンサー収入、入場料収入、物販収入、自治体からの事業委託収入などが増加し、過去最高の売上高を記録している。
引用終わり出典2025年度決算概要および株主総会決議事項のお知らせ新規タブで開きます損益面については、J3に初昇格したことでスポンサー収入、物販収入、入場料収入および高知県など地方自治体からの事業委託収入等が増加して、営業収益は前年比200百万円増加の400百万円となりました。一方、費用面においてもトップチームかかる人件費、遠征費およびホーム試合関連費用等が増加して、営業費用は前年比213百円増加の447百万円となりました。これらの結果、経常利益は前年比2百万円減少して△41百万円となりました。当期純利益は、前年度は債務免除益による特別利益を73百万円計上したこともあり、前年比79百万円減少して△41百万円となりました。
一方で費用も増加しており、営業利益は4736万円の損失、経常利益は4110万円の損失、当期純利益は4142万円の損失となった。収入の拡大に対して費用増が上回る構造となっており、収支の改善が課題となっている。
引用終わり出典2025年度決算概要および株主総会決議事項のお知らせ新規タブで開きます財政状況は、総資産は28百万円増加して64百万円、純資産は損益面で赤字計上となりましたが、72百万円の増資を行ったことにより30百万円改善して△51百万円となりました。
純資産額はマイナス5160万円で、債務超過の状態が継続している。年度内に7200万円の増資が実施されたことで前年度比では3057万円改善したものの、依然として解消には至っていない。
引用終わり出典2025年度決算概要および株主総会決議事項のお知らせ新規タブで開きます(3) 対処すべき課題
事業収入においては、トップチーム人件費をはじめ、ホームゲーム関連経費およびアウェー試合に臨む遠征費などの支出面の増加が見込まれることから、スポンサー収入をはじめ入場料収入、グッズ販売収入、およびアカデミー関連収入などの増強により財務基盤の強化が必要となります。
財務面においては、早急な債務超過解消が最重要課題であります。事業収入の増強策以外にも増資の実施、および企業版ふるさと納税の活用を推進することで早期に実現してまいります。
クラブは、債務超過の早期解消を最重要課題と位置付け、収入増強に加え、増資や企業版ふるさと納税の活用などを通じて財務基盤の強化を図る方針を示している。
クラブライセンス関連
財務基準
2025年9月、Jリーグはシーズン移行に伴うクラブライセンス制度における財務基準の特例措置新規タブで開きますを発表した。これはシーズン移行の影響を踏まえ、一定期間において「3期連続赤字の禁止」と「債務超過の禁止」を適用しないとするものである。
2026特別シーズンおよび2026/27シーズンに対応する事業年度は特例措置の対象となり、「債務超過および3期連続赤字をライセンス交付の判定対象としない」「対象年度に新たに債務超過に陥った場合も判定対象としない」とされている。
また、2027/28シーズンに対応する事業年度は猶予期間と位置付けられ、「債務超過が解消されていなくてもよいが、前年度より債務超過額が増加してはならない」「新たに債務超過に陥ってはならない」「3期連続赤字のカウントを開始する」といった基準が適用される。
上記財務基準の原文(抜粋)
(2) 提出された財務諸表に基づいて審査を行い、以下のいずれかに該当する場合は基準F.01を満たさないものとする。なお、決算期変更などにより、事業年度が1年未満または1年を超える場合には、判定方法はFIBが決定するものとする。
① 3期以上連続で当期純損失を計上した場合(ただし、ライセンスを申請した日の属する事業年度の前年度末日現在の純資産残高がライセンスを申請した日の属する事業年度の前年度の当期純損失の額の絶対値を上回っている場合は本項目に該当しないものとみなす)。なお、本項目は、2030年のライセンス申請において2027年度決算を1期目として適用を開始するものとする。
② ライセンスを申請した日の属する事業年度の前年度末日現在、純資産の金額がマイナスである(債務超過である)場合。なお、本項目は、2025年のライセンス申請において2024年度決算には適用しない。また、2029年のライセンス申請から適用するものとし、2026年から2028年のライセンス申請においては適用しない。さらに、2029年のライセンス申請においては、ライセンスを申請した日の属する事業年度の前年度末日において債務超過であったとしても、さらにその前年度末日において既に債務超過であって、ライセンスを申請した日の属する事業年度の前年度末日において債務超過額がその前年度の債務超過額と同額かまたは当該債務超過額より減少しているときは、本項目に該当しないものとみなす。
財務基準の特例措置は、新型コロナウイルスの影響を受け2020年に導入された。2020年度および2021年度が特例措置、2022年度は猶予期間、その後、配分金改革の影響により2023年度は再び特例措置、2024年度は猶予期間、そして2025年度からは通常運用に戻るスケジュールとされていた。したがって、特例措置期間中に債務超過に陥っていたクラブは、2025年度決算において債務超過を解消する必要があった。
シーズン移行に伴う特例措置公表後に実施された「2026特別シーズンクラブライセンス判定結果発表および説明会新規タブで開きます」においても、資料内で「2025年度の財務基準は、2025年度決算(2026年1月期)を期限として債務超過が解消されていなければならない」と明記されている。
なお、「債務超過の禁止」および「3期連続赤字の禁止」は、前年度決算(財務基準F.01)と進行中の事業年度の見込み(財務基準F.06)の双方が判定対象となる。
2026特別シーズンのライセンス判定では、財務面を理由に継続審議となったクラブは1クラブ(YS横浜)にとどまり、財務面に特記事項が付されたクラブは13クラブあったものの、より重い措置である是正通達の対象となったクラブはなかった。なお、高知ユナイテッドSCは特記事項の対象とはされていない。
この結果から、前年度(2024年度)時点で債務超過であったクラブについては、2025年度末までに増資などにより債務超過が解消される見込みが高いと判断されていたものとみていた。
しかし今回、高知ユナイテッドSCが公表した決算では、2025年度決算時点で債務超過が解消されていないにもかかわらず、2026特別シーズンのライセンスが交付されていることが確認された(官報によると、ガイナーレ鳥取も同様に債務超過が解消されていない)。
この取り扱いについては、現時点で明確な説明はなく、主に以下の2つの可能性が考えられる。
1つは、特段の制裁を伴わないままシーズン移行に伴う新たな特例措置へ移行し、実質的に債務超過解消期限が延長される運用である。
もう1つは、2026/27シーズンのJ3リーグにおいて勝点減(最大10点)の制裁が科される可能性である。『J3クラブライセンス交付規則』では、基準を満たさない場合でもJリーグ理事会の判断により制裁付きでライセンスを交付できるとされており、財務基準F.01およびF.06が未充足の場合、以下の規定が適用される可能性がある。
引用終わり出典J3クラブライセンス交付規則新規タブで開きます前項の規定にかかわらず、理事会は、第7条から第11条までに定める基準のいずれかを充足しない場合であっても、対象シーズンのJ3リーグの安定開催に支障を及ぼさないと認められる場合には、J3ライセンスを交付することができる。かかる場合、理事会が制裁を科すものとし、制裁の種類はJリーグ規約第142条第1項各号を準用するものとする。ただし、財務基準F.01第3項および財務基準F.06第3項に定める基準が未充足であったJ3ライセンス申請クラブに対する制裁は、原則として、対象シーズンの勝点減(最大10点)とする。
実際の運用については、2026年5月末に予定されているライセンス判定結果の公表を待つ必要がある。
いずれにせよ、高知ユナイテッドSCは新たな特例措置のもとで、2028/29シーズンに対応する事業年度末(2029年6月期)までに債務超過を解消する必要がある。
競技基準
また同クラブは、J1・J2ライセンスで必須とされるU-18チームを保有していないため、J3クラブで唯一J2ライセンスを保持していない。今回の発表においてU-18チーム設立に関する言及はなく、当面は財務基盤の立て直しが優先課題と考えられる。
競技基準S.02 選手の育成体制(アカデミーチーム)
(1) ライセンス申請者は、下記のアカデミーチームを保有するか、ライセンス申請者と関連する法人内に置かなければならない。ただし、第4号および第5号に定めるチームについては、当該年齢におけるサッカースクールまたはクリニックで代替することができる。なお、ライセンス申請者は、毎年度、当該アカデミーチームを技術的および金銭的に支援しなければならない。
① U-18チーム
② U-15チーム
③ U-14チーム(チーム登録上U15チームに含まれる)
④ U-12チーム
⑤ U-10チーム
2026特別シーズン J2クラブライセンス不交付 及び J3クラブライセンス交付のお知らせ新規タブで開きます
その他
シーズン移行に伴う決算期の変更については、従来の1月期から6月期へ変更することが株主総会で決議された。
また、クラブ筆頭株主(オーナー)である山本志穂美氏が取締役を辞任した。
リンク
公式

役員人事についてのお知らせ (2026年03月31日)新規タブで開きます
kochi-usc.jp
クラブライセンス関連

2026/27 シーズンに向けクラブライセンス制度を改定 (2025年09月18日)新規タブで開きます
www.jleague.jp

2026特別シーズンクラブライセンス判定結果発表および説明会発言録 (2025年10月03日)新規タブで開きます
www.jleague.jp
