レノファ山口が2021年度決算を発表

レノファ山口を運営する株式会社レノファ山口は2022年4月29日、2021年度の決算を発表しました。

主なトピック

1. 営業収入の低下
2. 債務超過額の増加

主な指標

損益計算書 (抜粋)

貸借対照表 純資産の部

背景

レノファ山口は2020年度決算で1.38億円の当期純損失を計上したため、純資産額は-0.88億円となりました。純資産額がマイナスの状態を債務超過といい、通常Jリーグクラブライセンス制度では債務超過になることが認められていません。しかしながら、新型コロナウイルスの影響を考慮して設けられた財務基準の特例措置によって、2020年度、2021年度決算においては新たに債務超過になることが認められています。

1. 営業収入の低下

新型コロナウイルス感染拡大が続く中、収入を伸ばすことができず、営業収益は前年比3300万円減の10億1000万円となりました。一方、営業費用は前年比2500万円減にとどまり、結果として当期純損失は1億2100万円と昨年に続き大きな赤字を計上することとなりました。

一般的に新型コロナウイルスによる営業収入への影響は厳しい入場制限があった2020年度で大きく、以降はコロナ禍以前の水準に向けて徐々に回復していく傾向にあると言えます。しかしながら、レノファ山口の2021年度の営業収入は10.10億円と、2020年度の10.43億円を下回る結果になりました。
内訳を見ると、入場料収入、物販収入は回復傾向にあるものの、スポンサー収入が3900万円低下しており、また移籍金収入などが含まれるその他収入も4400万円低下しています。

収支が改善できなかったため、債務超過の状態でありながら1.21億円の当期純損失を計上してしまいました。

2. 債務超過額の増加

レノファ山口は2020年度決算で0.88億円の債務超過でしたが、1.21億円の当期純損失により2021年度決算の債務超過額は2.09億円になりました。なお、クラブライセンス制度における財務基準の特例措置によって2021年度決算での債務超過額の増加は認められています。

2022年度以降に関して

クラブライセンス制度における財務基準の特例措置の対象になるのは2021年度決算までです。2022年度、2023年度は猶予期間として以下のルールが適用されます。

• 債務超過が解消されていなくてもよいが、前年度より債務超過額が増加してはいけない
• 新たに債務超過に陥ってはいけない
• 3期連続赤字のカウントをスタートする

また、猶予期間の対象となるのは2023年度決算までなので、2024年度決算(2025年1月末)では債務超過が解消されていなければなりません。

したがって、レノファ山口は2022年度、2023年度、2024年度の3年間で2.09億円の債務超過を解消しなければなりません。債務超過の解消方法については増資の実施を予定しているようです。

また、増資により、債務超過状態の解消とともに財務基盤を強固にすることも予定しています。

増資の詳細は不明ですが、債務超過を解消するには増資の引受額と2022年度、2023年度、2024年度の3年間の当期純利益の合計が、2021年度決算の債務超過額2.09億円を上回らなければなりません。まずは単年での収支を改善する必要があります。

• 1億円の増資の場合→3年間で合計1.09億円以上の当期純利益
• 2億円の増資の場合→3年間で合計0.09億円以上の当期純利益

リンク