2023年05月26日
【2022年度先行発表】債務超過額が減少したクラブ
Jリーグは2023年5月26日、2022年度のJクラブ経営情報開示資料の先行発表版を公表しました。先行発表版は3月決算の柏、湘南を除いた56クラブの経営情報で、完全版は例年7月末に公開されます。
2022年度決算では、2021年度決算で債務超過であった12クラブのうち5クラブが債務超過の状態にあります。
2022年度決算で債務超過のクラブは2025年度決算までに債務超過を解消しなければなりません。
追記 (2023/07/25)
2023年7月25日に2022年度Jクラブ経営情報開示資料の完全版が公開されました。完全版の内容を反映した記事は以下になります。
2022年度決算におけるクラブの動向
状態 | 数 | クラブ |
---|---|---|
債務超過解消 | 6 | 名古屋、仙台、磐田、山口、福島、沼津 |
債務超過額減少 | 5 | C大阪、福岡、鳥栖、東京V、鳥取 |
発表前 | 1 | 柏 |
債務超過額が減少したクラブ
セレッソ大阪、アビスパ福岡、サガン鳥栖、東京ヴェルディ、ガイナーレ鳥取の5クラブ
セレッソ大阪
- 2021年度決算の純資産額: -12.04億円
- 2022年度決算の純資産額: -11.46億円 (0.58億円)
- 2022年度の当期純利益: 0.57億円
- (参考)2022年度の営業収入: 42.16億円
アビスパ福岡
- 2021年度決算の純資産額: -3.55億円
- 2022年度決算の純資産額: -3.33億円(0.22億円)
- 2022年度の当期純利益: -0.01億円
- 2022年度内の増資額: 0.23億円
- (参考)2022年度の営業収入: 28.29億円
サガン鳥栖
- 2021年度決算の純資産額: -4.64億円
- 2022年度決算の純資産額: -2.86億円(1.78億円)
- 2022年度の当期純利益: 1.78億円
- (参考)2022年度の営業収入: 27.61億円
東京ヴェルディ
- 2021年度決算の純資産額: -5.04億円
- 2022年度決算の純資産額: -4.89億円(0.15億円)
- 2022年度の当期純利益: 0.16億円
- (参考)2022年度の営業収入: 21.16億円
ガイナーレ鳥取
- 2021年度決算の純資産額: -2.41億円
- 2022年度決算の純資産額: -2.36億円(0.05億円)
- 2022年度の当期純利益: 0.05億円
- (参考)2022年度の営業収入: 4.86億円
クラブライセンスについて
Jリーグクラブライセンス制度の財務基準ではJクラブが債務超過に陥ることを禁止していますが、新型コロナウイルスの影響により時限的に債務超過を認める特例が設けられています。特例には特例措置と猶予期間の2段階があり内容は以下の通りになります。
特例措置・猶予期間
特例措置
- 債務超過、3期連続赤字をライセンス交付の判定対象としない
- 対象年度に新たに債務超過に陥っても判定対象としない
2020年度決算、2021年度決算、2023年度決算が対象
当初は2020年度決算、2021年度決算が対象
猶予期間
- 債務超過が解消されていなくてもよいが、前年度より債務超過額が増加してはいけない
- 新たに債務超過に陥ってはいけない
- 3期連続赤字のカウント をスタートする
2022年度決算、2024年度決算が対象
当初は2022年度決算、2023年度決算が対象。2023年度決算は特例措置に変更、新たに2024年度決算も猶予期間の対象に。
特例措置なし
- 債務超過が解消されていなければならない
- 赤字が継続しているクラブは、3期連続赤字に抵触する可能性がある
2025年度決算から特例措置なし
当初は2024年度決算から特例措置なし。2024年度決算は猶予期間に変更。
2023年の均等配分金減額の影響を受け当初のスケジュールが改定されています。債務超過解消の期限は当初の2024年度末から2025年度末に一年延長しています。
具体的なライセンス審査は
クラブライセンス制度で定める「3期連続赤字の禁止」及び「債務超過の禁止」では、前事業年度の決算(財務基準F.01)と進行中の事業年度の決算の見通し(財務基準F.06)が判定対象となります。
2023年に実施する2024年シーズンのクラブライセンス判定
進行中の事業年度である2023年度決算は特例措置なので、仮に債務超過額が増加してしまってもクラブライセンス判定に影響することはありません。
2024年に実施する2025年シーズンのクラブライセンス判定
前事業年度の2023年度決算は特例措置なので判定対象外です。
進行中の事業年度である2024年度決算は猶予期間なので、債務超過額が増加しない事が合理的に見込まれることが必要になります。
2025年に実施する2026年シーズンのクラブライセンス判定
前事業年度の2024年度決算は猶予期間なので、債務超過額が増加していないこ とが必要になります。
進行中の事業年度である2025年度決算は特例措置なしなので、債務超過の解消が合理的に見込まれることが必要になります。
基準未充足の場合は
Jリーグが2021年10月に発表した「2022年度以降のクラブライセンス判定における財務基準について」では「上記の財務基準未充足となった場合には、J1・J2クラブは次シーズン下位リーグ所属、J3クラブは次シーズン勝点10点減とする。」ことが記載されています。
猶予期間の基準未充足については上記の運用がされるでしょう。
例えば2024年度決算で債務超過額が増加した場合、J1・J2クラブは降格、J3クラブは勝点10減という制裁付きでライセンスが交付されると考えられます。
では特例措置なしになる2025年度以降の基準未充足についてはどうなるでしょうか。
例えば2025年度決算で債務超過を解消できなかった場合、猶予期間と同様に制裁付きでライセンス交付となるのか、それとも従来通りクラブライセンス不公布になるのでしょうか。現時点ではわかりません。個人的は従来通りクラブライセンス不交付になるのではと考えています。