2024年04月26日
北海道コンサドーレ札幌が2023年度決算を公開及び第三者割当増資の報道
北海道コンサドーレ札幌を運営する株式会社コンサドーレは2024年4月26日、2023年度決算(自2023年2月1日、至2024年1月31日)を公開しました。
主な指標
項目 | 数値 | 前年比 |
---|---|---|
売上高(営業収入) | 41億1100万円 | 5億0600万円 |
営業利益 | ▲5億3000万円 | 4億7900万円 |
経常利益 | ▲4億7100万円 | 3億4000万円 |
当期純利益 | ▲4億1200万円 | 3億0500万円 |
純資産額 | 400万円 | 4億1200万円 |
北海道コンサド ーレ札幌は毎年決算公告を公開しており、決算公告には損益計算書とその内訳、貸借対照表及び株主資本等変動計算書が含まれています。
北海道コンサドーレ札幌の2023年度の売上高は41億1100万円。前年比5億0600万円の増収で過去最高の売上高を更新しています。その内訳としてスポンサー収入が4億5000万円していることや、商品売上高が前期比150%以上、金額にして約1億7000万円増加していることが挙げられます。
一方で前年度に9億円以上の営業損失を計上していることもあり、収支は改善しているものの、営業損失5億3000万円を計上し、最終的に2023年度の純損失は4億1200万円となっています。
収入面では、広告料収入につきまして過去最多のパートナー企業数を記録、グッズ販売でも過去最高の売上高を記録するなど目標値を上回る結果を残し、また興行収入においては、本格導入したダイナミックプライシングの効果が発揮され、前年を上回る売上高を記録しました。しかし、完全にコロナ禍の影響を払拭するまでには至らず、来場者数については苦戦を強いられました。 費用面については、人件 費や燃料費高騰の影響で試合運営経費が計画通りにいかず、また、広告料原価、商品原価についても予算を上回る経費を計上する結果となりました。
この結果、当事業年度の売上高は 4,111,450 千円、チーム強化費を含む売上原価は3,996,522 千円となり、販売費及び一般管理費を含めた営業損失は 529,832 千円、経常損失は 470,501 千円となり最終的な当期純損失は、412,022 千円を計上することとなりました。
4億1200万円という赤字の額については想定を上回る損失であったようです。光熱費や物価の上昇に伴う試合関連費用、トップチーム運営費用の増大がその要因と説明されています。
株主総会終了後、報道陣の取材に対応した三上大勝代表取締役GM(52)は4億円超の純損失について「トップチーム人件費は、ここ数年ひとつのめどとして18.5億円に近いサイズ感でやっており、昨年の決算でもその範囲内だが、その他のコストが大きな要因になっている」と説明。具体例としてホームゲームの運営費や、アウェーゲームでの飛行機移動が多い地域ゆえのチームの運営管理費を挙げ、ホームゲームの運営費については既に今季からコスト削減に取り組んでいると報告した。
総会後の会見で代表取締役ゼネラル・マネジャーの三上大勝氏は「トップチーム人件費はここ数年変わらない(18億5000万円)。その他のコスト増、たとえば燃料費や人件費高騰などが(赤字の)要因」と説明。
これに対して「チームの運営管理費は飛行機移動などを含めどのクラブよりも状況は難しい。(主要業務の中で費用が)かかるものに全部かかっていたが、社員1人ひとりが収入とコストを自分で管理し、利益率を上げていくことが必要だ」として、すでに事業・経費の見直しに着手していることを明かした。
2023年度決算の純資産額は385万円。2022年度内という比較的最近に8億9900万円規模の増資を実施したにも関わらず、債務超過寸前の状態となってしまいました。
とはいえ、2023年度は財務基準における特例措置の対象となる年度であり、新たに債務超過に陥っても次シーズンのライセンスが認められることから、強化費を削ってでも債務超過化を防ぐ、というよりはある一定水準の強化費を維持することに経営の重きを置いたことが、三上代表取締役GMの発言からも推察されます。
第三者割当増資の報道
決算公告内には2024年2月の臨時株主総会で第三者割当増資の実施を決議したことが記されています。
このうち、2月28日の臨時株主総会で「第三者割当による募集株式の発行」の決議をいただき、今後自己資本の強化を図って参ります。
そして決算公告の公開の同日2024年4月26日、月刊財界さっぽろが株式会社コンサドーレの三上大勝代表取締役GMに対する取材内容を掲載、その中ではゼラフットボール有限責任事業組合法人を引受先とする約9億円の第三者割当増資を実施することが報じられています。
その上で「自分の使命の中では、今後10年、20年とクラブを存続させることとそのための資本政策が一番重要だ」と強調した。
その資本政策で、今年6月をメドに新規の大口出資者として「ゼラフットボール有限責任事業組合法人」に対する約9 億円の第三者割当増資を実施することがわかった。
同社は元DAZN(ダゾーン)のJリーグコンテンツ統括責任者、ディーン・サドラー氏などが設立。サドラー氏は1964年生まれ、ニュージーランド出身。ラグビーの東芝府中(現・東芝ブレイブルーパス東京)元プロ選手を経て引退後にマーケティングリサーチの会社を立ち上げ、14年からDAZNを運営する「パフォーム・グループ」へ入社。15年10月にDAZNへ移った。DAZNではJリーグチェアマン(当時)の村井満氏を海外の渡航先で待ち受けて口説き落とすなど、リーグとの現在に至る蜜月の立役者となり、23年に独立した。北海道大学への留学経験を持つなど、北海道との縁もある。
2022年度内に実施した第三者割当増資では1株3000円の金額で新株を発行しています。したがって引受額9億円ジャストの場合、発行される新株は300,000株、増資後の発行済株式総数は949,772株となるため、ゼラフットボールは持ち株比率31.59%と大株主の一員となります。
ただし懸念される点は、ゼラフットボール有限責任事業組合法人に関して、2024年5月3日時点でこの報道以外に一切の情報がないことです。謎に包まれたゼラフットボールが9億円という巨額を調達、出資し、経営に影響力を持つことが、今後どのような効果をもたらすのか想像が及びもつきません。続報が待たれます。
有限責任事業組合(Limited Liability Partnership(LLP))について
有限責任事業組合(LLP)とは、民法組合の特例として創設された、参加する組合員が個性や能力を発揮しながら共同事業を行うことができる組織形態。
〔LLPの特徴〕
有限責任
組合員は、出資金額までしか債権者に対して責任を負わない。
経営の柔軟性
組合員の貢献度合いなどを勘案し、権限や損益の配分など組合内部の運営ルールを柔軟に設計できる。
構成員課税
法人格はなく、LLP自体にではなく、損益分配割合に従って各組合員に帰属する損益に対し、各組合員においてのみ課税がなされる。
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