2022年04月27日
ガイナーレ鳥取が2021年度決算を発表
ガイナーレ鳥取を運営する株式会社SC鳥取は2022年4月27日、2021年度の決算を発表しました。
主なトピック
- 収支は改善傾向も大きな当期純損失
- 経営規模に対して大きな債務超過額
主な指標
項目 | 数値 | 前年比 |
---|---|---|
営業収入 | 3.81億円 | 0.98億円 |
営業費用 | 4.45億円 | 0.17億円 |
営業利益 | ▲0.65億円 | 1.15億円 |
経常利益 | ▲0.70億円 | 0.90億円 |
当期純利益 | ▲0.83億円 | 0.78億円 |
純資産 | ▲2.41億円 | 0.83億円 |
損益計算書 (抜粋)
(単位: 千円) | 営業収入 | 営業費用 | 営業利益 | 経常利益 | 当期純利益 |
---|---|---|---|---|---|
2019決算 | 454,534 | 476,642 | -22,108 | -32,442 | -42,049 |
2020決算 | 282,781 | 463,113 | -180,332 | -159,804 | -161,148 |
2021決算 | 381,265 | 446,542 | -65,277 | -69,720 | -83,125 |
前年比 | 98,484 | 16,571 | 115,055 | 90,084 | 78,023 |
貸借対照表 純資産の部
(単位: 千円) | 純資産 | 資本金 | 資本剰余金等 | 利益剰余金 | (当期純利益) |
---|---|---|---|---|---|
2019決算 | 3,265 | 231,385 | 166,935 | -395,055 | -42,049 |
2020決算 | -157,883 | 231,385 | 166,935 | -556,203 | -161,148 |
2021決算 | -241,009 | 231,385 | 166,935 | -639,329 | -83,125 |
前年比 | 83,126 | 0 | 0 | 83,126 | 78,023 |
背景
ガイナーレ鳥取は2020年度決算において1.61億円の当期純損失を計上したため、純資産は-1.58億円と債務超過の状態になりました。通常、決算時に債務超過であったクラブには次々年度のJリーグクラブライセンスは交付されませんが、新型コロナウイルスの影響による財務基準の特例措置により、2020年度決算、2021年度決算において新たに債務超過になることが認められています。
1. 収支は改善傾向も大きな当期純損失
ガイナーレ鳥取は2021年度決算において0.83億円の当期純損失を計上しています。これによって債務超過額は2.41億円となりました。営業収入は3.81億円とコロナ禍以前の水準に回復しつつありますが、営業費用がコロナ禍以前と同じ水準であるため、依然収支のバランスが崩れた状態にあります。
収支の改善には費用を縮小しなければなりませんが、鳥取は2020年度決算においてチーム人件費がJ3で下から数えて3番目。営業費用の内訳は発表されていませんが、2020年度までの内訳を見る限りでは、費用を縮小する余地が小さいという印象があります。
2021年度決算ではクラブライセンス制度における財務基準の特例措置によって債務超過額の増加が認められますが、2022年度決算からは猶予期間に変わり債務超過額の増加が認められません。増資の実施がない場合は、収支を改善して2022年度決算で必ず当期純利益を出さなければなりません。
なお、3期連続赤字の禁止については2022年度決算から新たにカウントが始まります。したがって、2024年に実施される2025年シーズンクラブライセンス審査までは3期連続赤字の状態であっても判定に影響がありません。
2. 経営規模に対して大きな債務超過額
ガイナーレ鳥取の2021年度決算における債務超過額は2.41億円です。
クラブライセンス制度における財務基準の猶予期間は、2022年度決算、2023年度決算が対象なので、猶予期間が終わる2024年度決算までに債務超過を解消しなければなりません。増資をせずに3年間で2.41億円の債務超過を解消するには、単純計算で1年あたり8000万円以上の当期純利益を出す必要があります。
ガイナーレ鳥取の2021年度決算における営業収入は3.81億円、コロナ禍以前の2019年度決算では4.55億円でした。この経営規模で1年あたり8000万円以上の当期純利益を今後3年間出すのはハードルが高いと言わざるを得ないでしょう。
2022年度以降に関して
ガイナーレ鳥取は2021年度決算において債務超過であったため、2022年度以降の経営には以下の制約がつきます。
- 債務超過額が増加してはいけない
- 2024年度決算(2025年1月末)までに債務超過を解消しなければならない
第一に収支を改善して2022年 度決算で少額でも単年で黒字を出すこと。その次に、2024年度決算までの債務超過解消の道筋を立てること。これが制約を満たすための最低限の行動原理となります。
以上はクラブライセンス制度に関わる話ですが、そもそもの大前提として、クラブの資金繰りが成立しなければなりません。決算時の流動資産は非常に小さく、クラブの経営状態が懸念される状態にあります。
なお、2023年シーズンのJ2ライセンスの交付の可否ですが、対象となる2021年度決算は財務基準の特例措置の対象であるため、他の基準を満たしているならば、ガイナーレ鳥取は2023年シーズンのJ2ライセンスが交付を受けられる可能性はあります。
基準を満たせなかった場合
■基準未充足となった場合の取扱い
上記の財務基準未充足となった場合には、J1・J2クラブは次シーズン下位リーグ所属、J3クラブは次シーズン勝点10点減とする。
上記のルールに抵触した場合、決算年度の次々シーズンは、決算年度の次シーズンの所属カテゴリの直下のリーグに成績に関わらず降格、J3クラブは勝点10減という制裁が行われます。
例えば2022年度決算で債務超過額が増加してしまった場合は、以下のような取扱いがされます。
- 2023年シーズンがJ2所属の場合→成績に関わらず2024年シーズンはJ3所属
- 2023年シーズンがJ3所属の場合→成績に関わらず2024年シーズンはJ3所属・勝点10減からの開幕
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