Jリーグが2022年度クラブ決算一覧・先行発表版を公表

2023年05月26日

Jリーグが2022年度クラブ決算一覧・先行発表版を公表

Jリーグは2023年5月26日、2022年度のJクラブ経営情報開示資料の先行発表版を公表しました。先行発表版は3月決算の柏、湘南を除いた56クラブの経営情報で、完全版は例年7月末に公開されます。

クラブ経営情報
aboutj.jleague.jp

2022年度の経営情報では開示される項目の内訳に変更があります。
その内容を簡潔に記すと、損益計算書は「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」の様式に近い表記になり、またクラブ毎に差異があった分類法を整理しクラブ間比較が高い精度で行えるようになった、と言うことができるでしょう。

財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則
elaws.e-gov.go.jp
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主な変更点

  1. 「営業収益」が「売上高」に
  2. 「女子チーム関連収入」を新設
  3. 「営業費用」が「売上原価」と「販売費および一般管理費」に
  4. 「チーム人件費」が「トップチーム人件費」に
  5. 「その他売上原価」を新設

1. 「営業収益」が「売上高」に

2021年度までは「営業収益」と表されていた項目が、2022年度から「売上高」と表示されるようになりました。これは「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」に合わせた表記への変更です。

このサイトでは今までと同じく「営業収入」と表記することにします。

2. 「女子チーム関連収入」が新設

売上高の項目に「女子チーム関連収入」が新設されています。
この項目が計上されているのは同じ法人でWEリーグに参加している浦和、広島、大宮、千葉、東京V、長野の6クラブと、なでしこリーグに参加している愛媛の合計7クラブです。

となると、2021年度までの経営情報では「スポンサー収入」や「入場料収入」に女子チームによる収入が含まれていた可能性があります。「女子チーム関連収入」を別枠で設けることで、各項目のクラブ間比較の精度を高める狙いがあると考えられます。

3. 「営業費用」が「売上原価」と「販売費および一般管理費」に

「営業費用」という項目がなくなりました。
代わりに「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」に合わせて「売上原価」(およびその内訳)と「販売費および一般管理費」の二項目で表記されることになりました。

このサイトでは「売上原価」と「販売費および一般管理費」の合計値を「営業費用」として今まで通り表示することにします。

4. 「チーム人件費」が「トップチーム人件費」に

「チーム人件費」が「トップチーム人件費」に変更されています。
これは単なる名称変更ではありません。というのも、2021年度までの経営情報では「チーム人件費」にアカデミーや女子チームなどトップチーム以外の選手・スタッフの人件費を含めているクラブと含めていないクラブが混在している状態でした。
この項目をトップチーム関連の選手・スタッフの報酬及び移籍金支出に限定することで、クラブ間比較の精度を高める狙いがあると考えられます。

なおこのサイトでは従来通り「チーム人件費」と表記します。

【2022年度先行発表】「チーム人件費」が「トップチーム人件費」に (2023年5月31日)

5. 「その他売上原価」を新設

2021年度までの経営情報では「販売費および一般管理費」は既存の分類に含まれない「その他」に近い運用がされていました。「販売費および一般管理費」とは「売上原価」に含まれない、売上と関係なく掛かる費用のことですが、2015年までの経営情報では「売上原価」であるはずの「物販関連費」が「販売費および一般管理費」に含まれているなど、曖昧な運用がされていました。

2022年度からは既存の項目に含まれない「売上原価」を「その他の売上原価」という項目として分類することで、厳密に「売上原価」と「販売費および一般管理費」を分けることができるようになりました。

「2023年度以降の財務基準」を正式に発表

Jリーグクラブライセンス制度の財務基準では「債務超過に陥ること」と「3期連続赤字」を禁止していますが、新型コロナウイルスの影響により時限的に債務超過や3期以上連続の赤字を認める特例措置が設けられています。

特例措置のスケジュールは2020年10月の公表以降、2022年12月まで変更がない状態でしたが、2023年に新たなスケジュールに改定されています。この内容は2023年1月にJリーグ公式サイトに掲載されたクラブライセンス交付規則の中で確認することができます。この改定については2022年12月に開催されたJリーグの第4回社員総会及び実行委員会の報道資料として公表されていたようですが、メディアによる報道はなく、また一般向けのプレスリリースは今日まで出ていませんでした。

今回公開された「クラブ経営情報開示資料(先行発表)」の中で、財務基準の特例措置のスケジュール改定が初めて一般に分かりやすい形で公表されました。

クラブ経営情報開示資料(先行発表/2023.5.26現在)
aboutj.jleague.jp
2023年度決算がクラブライセンス制度の財務基準・特例措置の対象に (2023年1月3日)

このサイトの更新について

2022年度決算一覧の先行発表版の数値を公開しました。

2022年Jクラブ経営情報

また2021年度に債務超過であったクラブの動向に関しては以下の2つの記事にまとめています。

状態クラブ
債務超過解消6名古屋、仙台、磐田、山口、福島、沼津
債務超過額減少5C大阪、福岡、鳥栖、東京V、鳥取
発表前1
【2022年度先行発表】債務超過を解消したクラブ (2023年5月26日)
【2022年度先行発表】債務超過額が減少したクラブ (2023年5月26日)

リンク

クラブ経営情報
aboutj.jleague.jp
財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則
elaws.e-gov.go.jp
2022年度Jクラブ決算は債務超過5クラブ、赤字21クラブ…“財務降格”特例停止中でライセンスへの影響は? (2023年5月26日)
web.gekisaka.jp
Jクラブ全体の売上高1304億円、コロナ前上回る 22年度 (2023年5月26日)
www.nikkei.com
Jリーグが2022年度クラブ決算一覧・先行発表版を公表

日付: 2023年05月26日

最終更新日: 2023年06月01日

クラブ:

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